2007年の初代iPhoneの発売から10周年を迎えた今年、9月22日にiPhone8が、11月3日には10周年記念モデルとも言えるiPhoneXが発売。優れたデザインと早いレスポンス、直感的な操作が可能なUI(ユーザーインターフェース)など、さまざまな特徴がユーザーに受け入れられ、新モデルはシリーズ11世代目の端末として登場。
iPhone7から対応を開始したFeliCaに加え、ワイヤレス充電にも対応するなど順当な進化を遂げています。とくに、FeliCa対応についてはiPhone7では日本モデルのみの対応であったものが、iPhone8とXではグローバルモデルでも対応。今後も増加が見込まれるインバウンド向けの決済方法として浸透することが予想されます。iPhoneシェア数が全体の70%(2017年度)にも及ぶ日本人にとっては、最新iPhone事情は気になるところですね。
ここでは、iPhone8、Xで実装された最新技術やFeliCaに焦点を当て、非接触型決済の利便性向上から読み取る将来像などについてご紹介したいと思います
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最新のiPhoneは今までとどこが違う?
外観の変更
iPhoneシリーズ10周年の今年、iPhone8とアニバーサリーモデルとも言うべきiPhoneXが発売されました。バージョンはiOS11にアップデートされ、デザイン面、機能面など、iPhone 7からの変化点を確認してみます。
まずは外観面の大きな変更点として、背面が強化ガラスに変更されたことでしょう。強化ガラスへの変更で、落下時の割れの可能性はあるものの、曲げ強度や耐傷付き性は改良されたようです。また質感もアップし、高級感のある外観となりました。iPhone Xでは、画面全体が液晶画面という「ベゼルレス」のモニタを採用。併せてホームボタンが廃止され、より直感的な操作を可能に。
顔認証「Face ID」でセキュリティ強化
ホームボタン廃止によって指紋認証が無くなり、新たにFace IDと呼ばれる顔認証が採用されました。顔認証の精度は非常に高く、照明の不足している暗闇やメガネをかけているなどの条件下でも認証出来るなど利便性を高める一方、他人によってロックを解除できる確率はTouch IDの5万分の1に対してFace IDでは100万分の1とセキュリティ面がパワーアップ。
モニタやカメラも順当に進化しており、周囲の光によってホワイトバランスを調整するTrue Toneの採用や、デュアルカメラを利用したボケの表現、写真のエフェクトなどの機能の充実が図られています。
iOS11による標準アプリの最適化
iOS11へのバージョンアップによって、標準アプリケーションも進化しました。大きな変化は標準のカメラアプリで、QRコードの読み取りが可能になったことです。中国を中心にQRコード決済はグローバルでの広がりを見せており、この流れに対応したものと思われます。
他にもマップ機能が拡充され、ルート案内の精度が向上しカレンダーとの連携が可能。また、AppleよりAR(拡張現実)機能を開発するためARKitが発表されており、マップとAR機能の連携も期待されています。
※AR(オーグメンテッド・リアリティ)とは、現実世界に画面を通してデジタル情報を表示すること(例)「ポケモンGO」など
また、メッセージアプリはステッカーや絵文字が使える他、米国内ではApple Payと連携して送金が可能となる機能が実装予定となっています。Siriについては学習機能が強化され、より自然な発話が可能。翻訳機能も改良されました。ファイル管理に関してはフォルダの概念が導入され、PCライクなファイル管理が可能となり、動画や静止画の保存にも圧縮効率の高い新方式を採用。容量削減ができるなど、多くの点で進化が見られます。
FeliCa決済が可能に
日本ではSuicaやnanaco、WAONなど非接触認証が可能な電子マネーが多く採用されてきました。これらの非接触認証に使用される技術は一般的にNFC(Near Field Communication)と呼ばれるもので、日本国内ではソニーが開発したNFCの一種であるFeliCaが事実上の標準仕様となって利用されています。
日本版のiPhone 7のみ国内限定でFeliCa機能に対応していましたが、iPhone 8からはグローバル版でも搭載され、海外モデルのiPhoneでもSuicaカードの機能が利用可能に。また、各サービスへのチャージや支払いにはApple Payを経由することで、海外発行のクレジットカードも利用できる仕様になりました。
2020年の将来像はインバウンドとiPhone機能の2軸
欧米ではクレジットカードの、中国ではQRコード決済の浸透によりキャッシュレスの支払が一般的となっています。日本では、セキュリティや利便性の高いFeliCaが浸透しています。
iPhoneがFeliCaに対応したことにより、国内外でさらに利用者増加が見込まれるでしょう。国内のAndroid端末がほぼおサイフケータイに対応している状況を考えるとますます、FeliCaを利用した電子マネー決済が身近な存在になってきたと言っても良いかもしれません。
また、近年のインバウンド需要を支えていた中国では、AlipayやWeChat PayによるQRコード決済が普及しており、日本国内でも独自のQRコード決済とあわせて楽天PayやOrigami Payが中国のAlipayとの提携を行うなど対応が進められています。
決済端末であり生活をナビゲートするiPhone。QRコード読み取りの標準化やFeliCaへの対応など、機能面の進化とあわせて、2020年に向けた国内外のサービスを展開していく必要がありそうです。
デバイスの環境に今後も注目
iPhoneという生活必需品の端末により、日々インフラの下地が作られています。端末の機能を活用したサービス展開で、利便性の向上や集客を図れるため企業側にとって機能を把握しておくことは重要です。とくに電子マネーや非接触型通信の技術に関してはさらに発展していく領域でしょう。今後もさらなるデバイスの改良の普及により、国内外を問わない利便性を高めたサービスの開発が期待されています。
FeliCa / NFC について
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