Mifareとは?世界中で使用されているICカードです!

「Mifare(マイフェア)」は「MIkron FARE-collection System」の略です。
オランダの「NXPセミコンダクターズ社」(もとはフィリップス社の半導体部門)が製造する非接触型のICカードの通信技術、およびその通信技術を利用したICチップを搭載したカードをさします。

Mifareは非接触型ICカードの国際通信規格である「ISO14443TypeA」に準拠し、誰でも開発ができるオープンなシステムです。
暗号機能を最小限にとどめることで機能を簡素化し、大量生産することで「FeliCa」など他のICカードと比べて低コストで開発できるという特徴があります。

FeliCaと比べると性能では劣るMifareですが、一般的な用途であれば十分な性能を持っています。
そのため、非接触型ICカードとしては世界で最も多く普及しており、全世界での累計出荷数は数十億枚をこえると推測されています。
決済や入退出管理、電子マネー、交通系カード、会員カードなどに広く利用されており、日本でもタバコの「Taspo(タスポ)」カードなどに利用されています。

Mifareカードを使えば、専用の機器に通したり、触れたりることなく、かざすだけで交信が可能になります。
Mifareカードを読み取るリーダーライターには、半径10センチメートルほどの範囲に磁界が発生しています。そこにMifareを利用したICチップを内蔵したカードを近づけると、カード内に磁気が発生し、ICチップが稼働するという仕組みとなっています。

なお、Mifareは非接触型ICカード(NFC)のTypeAに準拠した規格となります。NFCについては、下記コラムでもご紹介しておりますので、ご参考ください。

Mifareの種類や価格をご紹介!

Mifareには以下のような種類があります。

MIFARE Classic(Standard)

1994年に登場した、最初に採用されたMifareです。
低価格なので、電子マネーや社員証、交通機関などで幅広く利用されています。

「ISO/IEC 14443-4」には対応しておらず、独自の認証と暗号化プロトコルを採用しています。
以前は「MIFARE Standard」という名称でしたが、暗号化のアルゴリズムに脆弱性が判明した後は「MIFARE Classic」に改名されました。

改良後も脆弱性が発見されており、新規採用には推奨されていません。

当社でもアプリ開発でMIFARE Classicの対応経験がありますが、最新の機種では対応していない場合もあり、注意が必要です。

MIFARE Ultralight

「MIFARE Classic」からセキュリティ機能を除いた簡易版です。
「ISO/IEC 14443-4」に準拠しています。
非常に低価格で、会員証や電子チケットなどに利用されています。

当社では、MIFAREを利用したシステムを開発する場合は、原則Ultralight以降のMIFAREか、FeliCaやNtag など他のNFC規格のカードをオススメしております。

MIFARE Plus

「MIFARE Classic」の脆弱性に対応したものです。
「ISO/IEC 14443-4」に準拠しています。

MIFARE DESFire

「MIFARE Classic」に比べ、よりセキュリティ機能が高いトリプルDES認証を利用したものです。
「ISO/IEC 14443-4」に準拠し、高いセキュリティ性を持つため、アメリカ国防省の認証カードにも採用されています。

NFC(Near Field Communication)の規格にも準じているので、スマートフォンとの連動も可能です。

Mifareカードの値段はメーカーによって違いがありますが、MIFARE Classic(Standard)で1枚300円前後~となっています。詳細はメーカーに問い合わせてください。

Mifareにはシールも!機能や使い方を解説!

Mifareには、一般的なカードタイプの他に、シールタイプのものもあります。
裏面に接着面があるので、磁気カード、プラスチック、紙、木、ガラス、ゴムなど、様々なものに貼りつけて使用することができます。

もちろん裏面紙を剥がさずそのまま使用することもできるので、財布や巾着などに入れて使用することも可能です。
ただし、ICチップは電磁誘導方式なので、原理的に金属に貼りつけて使用することには向きません。

MifareとFeliCaはどう違う?規格や用途を徹底比較!

日本では、ICカードの規格としては「FeliCa(フェリカ)」が最も普及しています。
FeliCaはソニー株式会社が開発した非接触ICカードのための通信技術で、「SuiCa」「ICOCA」「PASMO」などの交通系のICカードを始め、「nanaco」といった電子マネーサービスなどで、国内では幅広く使用されています。

FeliCaには大きく、セキュリティ性や拡張性が高い「FeliCa Standard」とセキュリティ性や機能を最低限に抑えた「FeliCa Lite-S」の2種類があります。

FeliCaはMifareと比べて通信速度などの性能が高く、高レベルで暗号対応されており、価格は高くなります。
FeliCaは、搭載したカードとカードリーダー・ライターとの処理は、通信内容を保護する暗号処理までを含めても約0.1秒以内と、非常に高速で処理ができます。

また、近年ではFeliCaに対応したICチップを内蔵したスマートフォンが数多くリリースされています。

FeliCaとMifareを比較してみましょう。

  Mifare FeliCa Standard FeliCa Lite-S
セキュリティ性
運用のしやすさ
拡張性
メモリ容量
コスト

※相対的な比較です

コストは、販売するメーカーによっても違いますが、Mifareが1枚約300円前後〜、FeliCa Lite-Sが1枚約300円〜、FeliCa Standardが1枚約800円前後〜が目安となるでしょう。

海外では公共の交通システムにもMifareが利用されていますが、日本では電車や地下鉄などでは改札の混雑を解消するために高速通信が必要だとして、交通系のICカードにMifareよりも高速で通信できるFeliCaが使用されています。
ただし、電子マネーなど、一般的な用途であればMifareでも速度は十分です。

そのため、日本と同じくMifareよりFeliCaのほうが普及していた香港では、近年Mifareへの移行が進んでいます。
日本ではこれまで、FeliCaのシェアが圧倒的だったこともあって、Mifareに対応したリーダーライターや開発システムが普及してきませんでした。しかし、MifareとFeliCaの両方と通信ができる「NFC」が国際規格(ISO18092)となり、近年ではMifare対応のリーダーライターや開発システムが普及してきています。

今後は日本でもMifareの普及が進み、用途やコストによってどちらかを選択することになるでしょう。

なお、FeliCaとNFCについては、下記コラムでも紹介しております。

ICカード選びに迷ったら?ポイントをチェック!

現状、日本ではFeliCaがもっとも普及していますが、これまで述べてきたように、Mifareの普及も進んできています。
そうなると、どちらを選ぶか迷うところですが、選び方のポイントとしては、「使用したいシステムがどちらに対応しているか」「発行コスト」を意識するとよいでしょう。

安くて性能的にも問題ないのならMifareを使いたいとなるのが当然ですが、現状では使用したいシステムがまだMifareに対応していない可能性があります。
また、ICカードを頻繁に発行するようであれば、コスト面も重要なポイントになるでしょう。用途、コストをよく検討して導入しましょう。

MIFAREなどのNFCを活用したシステムの開発には

MIFAREについて、ご説明させて頂きました。

NFCには、色々な種類があり、MIFAREもその一つです。どのNFCを利用するかで迷ったときは、専門の業者にご相談することをオススメしております。

Samuraiでは、NFCを利用したシステムの構築に精通しており、構想段階からの相談が可能です。ご要望に合わせた提案も可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。

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