RFIDとNFCの違い
皆さんは「RFID」や「NFC」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
現在、情報テクノロジーの開発が進み、生活が豊かになっています。RFIDやNFCもその1つで、様々な場面で活用されている便利な技術です。
身近に普及しているシステムなので、インターネットやビジネスでその名前を知った方も多いのではないでしょうか。
RFIDとは、無線通信を利用して情報のやり取りをする技術全般のことです。
クレジットカードに使われるICチップや、お店の商品についている万引き防止タグなど、RFIDが使われているものは周囲にたくさんあります。
NFCとは、近距離無線通信を意味する言葉です。つまり、NFCはRFIDに属する技術の一種です。
NFCは、マイナンバーカードやSuicaなどの交通系電子マネーに利用されているため、意識せずに使っている方も多いでしょう。
NFCやRFIDはバーコードやQRコードに変わる技術として注目され、幅広い業界で活用されています。それぞれの技術の特徴について、詳しく解説します。
なお、NFC自体の解説については、コラム「現代に欠かせない技術!NFCって何者?」でご紹介しておりますので、ご覧ください。
RFIDの特徴
RFIDは「Radio frequency identifier」の略で、無線通信で情報を処理する技術の総称です。近距離無線通信のNFCなどが該当します。
RFIDを用いて読み取る情報媒体をRFタグといいます。ICタグや無線タグはRFタグの別称です。
RFタグには馴染みのあるカードタイプのほかに、シールタイプやコインタイプがあります。
RFIDは物流業界で2000年代から導入され、徐々に普及していきました。現在は様々な業界で利用され、社会になくてはならない技術となっています。
RFIDは従来のバーコードやQRコードと比較されることが多いですが、それぞれメリットとデメリットが存在します。
RFIDのメリットとデメリットをみてみましょう。
RFIDのメリット
RFIDは導入するメリットが多く、実際に様々な用途に利用されています。
メリットは次のとおりです。
①情報の書き換えができる
②距離が離れていても読み取れる
③一度に複数読み取れる
④隠れていても読み取れる
バーコードやQRコードと比べ、どのような点が優れているのでしょうか。
①情報の書き換えができる
RFIDの最も大きな特徴は、情報の書き換えが可能な点です。
バーコードやQRコードでは、印字されている都合上、基本的に情報を書き換えられません。
お店の商品についている万引き防止タグは、会計をせずに持ち出すとブザーがなる情報が書きこまれています。
しかし、会計時にレジをとおすと購入済みの情報に書き換えられ、持ち出しても反応しなくなるのです。これにより、タグを回収する必要がなくなります。
情報の書き換えは何度でも可能です。これにより、RFIDを用いた社員証を使って出退勤の管理などができます。
②距離が離れていても読み取れる
NFCは短距離無線通信ですが、RFIDは長距離の通信にも対応しています。
RFIDの範囲は広いため、数メートル離れたところにあるタグを読み取ることが可能です。
高いところにある資材を読み取る際や、広い倉庫で商品を管理する際に作業を効率化できます。
③一度に複数読み取れる
RFIDは複数のタグを同時に読み取れます。
バーコードの場合は一つひとつ読み取る必要がありますが、RFIDを用いると一度に処理することが可能です。タグが重なっていても個別で識別し、それぞれの情報を読み取れます。
ユニクロの無人レジではRFIDが導入されていて、複数の商品をまとめて認識してくれます。作業効率が格段に上がる重要なメリットです。
④隠れていても読み取れる
RFIDは無線通信を使って情報を処理するため、タグが隠れていても問題ありません。
バーコードやQRコードは、印字された箇所が汚れてしまうと読み取れなくなります。RFIDならその心配がなく、汚れていたり箱に隠れたりしていても大丈夫です。
RFIDのデメリット
便利な特徴を持つRFIDですが、一方でデメリットもあります。
①コストが高い
②プライバシー問題
いい部分以外にも目を向けることで、正しい認識を持ちましょう。
①コストが高い
バーコードやQRコードが印字することで容易に量産できるのに対し、RFIDを用いたRFタグは高コストです。
1枚あたり数十円の製造コストがかかるため、大量に頒布する際は導入をためらう要因となるでしょう。
②プライバシー問題
RFIDのタグには様々な情報が記録されています。
書き換え可能なICタグやNFCタグには利用者の個人情報が残るため、プライバシー保護の観点で問題視されています。
過去にICチップのついた商品の不買運動が起こったケースがありました。情報漏えいや不正利用が起こらないための対策が、企業側に求められています。
RFIDにおけるUHF帯とHF帯の違い
RFIDは使用する周波数によって、UHF帯とHF帯にわかれます。
UHFは極超短波、HFは短波のことで、周波数によって情報を読み取れる距離が異なります。
UHF
UHFは極超短波のことです。
通信距離が非常に長く、地上波のテレビ放送や携帯電話で使われています。
金属や水に弱いため、環境によっては通信が不安定になるデメリットがあります。
HF
HFは短波のことです。
通信方式がシンプルなため、古くからアマチュア無線や短波ラジオで利用されてきました。
HFは1対1の通信に適しています。NFCは、HF帯に属しています。
NFCの特徴
NFCは「Near field communication」の略で、近距離無線通信を意味します。前述したとおり、RFIDという技術の一種です。
身近なところでは、運転免許証やパスポート、Suicaなどの交通系電子マネーに利用されています。
また、現在は多くのスマートフォンにNFCが搭載されているため、「Apple Pay」や「おサイフケータイ」などの非接触決済が可能になっています。
NFCには「Type-A」「Type-B」「FeliCa」の3つの規格があります。それぞれ詳しくみてみましょう。
なお、決済での活用事例については、コラム「日本におけるNFC決済の現状」で解説をしております。
①Type-A
NFCのType-Aは、オランダのフィリップス社(現NXPセミコンダクターズ)が開発した技術です。
日本では、日本たばこ協会が導入する成人識別カード「taspo」などに使われています。
世界的に普及している規格で、この後紹介するType-BやFeliCaと比べ、安価であるのが特徴です。
②Type-B
Type-Bはアメリカのモトローラ社が開発しました。
日本では、マイナンバーカードや運転免許証などに使われています。
セキュリティに優れているため、行政システムなどに利用されています。Type-Aと比べると、若干コストが高いのが特徴です。
Type-AとType-BをまとめてType A/Bといいます。
近年普及しているクレジットカードのコンタクトレス決済(Visaタッチ、Mastercardコンタクトレスなど)は、Type A/Bの技術が使われています。
③FeliCa
FeliCaはソニーが開発した通信技術で、日本で最も普及している規格です。
Suicaなどの交通系電子マネー、QUIQPay、iD、楽天Edy、おサイフケータイなど、日本で使われている非接触決済の多くがFeliCaを用いています。
Type A/Bと比べて処理速度が速いことが特徴です
処理速度はType A/Bの2倍以上です。日本の通勤ラッシュ時の混雑を円滑に処理するため、このような速度が実現しました。
Suicaなどの交通系電子マネーでスムーズに改札を通れるのは、FeliCaのおかげです。
なお、NFCとFeliCaの違いについては、コラム「FeliCaとNFCの違いって何?規格と技術の比較」においても解説をしております。
RFIDやNFCシステムを開発導入するには
RFIDとNFCについて、ご説明をいたしました。
なお、RFIDやNFCを活用したシステムの導入を行うには、開発が伴います。Samuraiでは、豊富な導入実績がありますので、初めて導入を検討する事業者様にも、現状やニーズに合わせた適切なアドバイスをすることが可能です。
また、RFタグの導入にはコストがかかるため、より安価にQRコードなどを利用するシステムやアプリの開発についても、ご提案が可能です。
様々なカスタマイズや機能連携しての導入も可能です。もちろんセキュリティ対策も万全ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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