ブロックチェーン技術の開発とビットコインの誕生以来、世界の金融、政治情勢の変化にも大きく影響を受けながら仮想通貨市場は急拡大を続けてきました。2018年1月には中国でビットコイン取引禁止や、投機市場の影響により仮想通貨バブル崩壊と言われる大幅な相場の下落を迎えるなど、不安定ではあるものの決済プラットフォームとして今後も期待されています。
また、ビットコインに次いで時価総額が高かったイーサリアムを抜いてリップルが2位に浮上。Googleの出資を受け、一般ユーザーに普及し始めています。リップルもビットコイン同様の投機対象として取引が行われていましたが、その開発の目的や機能はビットコインとは異なります。他の仮想通貨とは違うリップルの仕組みや特徴について解説します。
リップル(Ripple)とは
リップルとは、Ryan Fugger氏によって開発され、現在はRipple社(Ripple Inc)により運用、開発が継続されています。銀行間の送金システムを目的とした仮想通貨で、通貨単位はXRP、XRPの100万分の1をdropと呼びます。リップルはビットコインと比較して決済スピードが非常に早く、信頼性が高い事が特徴です。多くの金融機関にとってメリットが多い事から、金融機関からの注目が高く、GoogleやSBIホールディングス、三菱東京UFJ銀行などが出資している事で話題となりました。
リップルの仕組みと特徴
リップルの開発は2004年から開始されており、ビットコインのキー技術であるブロックチェーンが発表された2008年より4年も早く着手されています。銀行間送金のコスト、時間、リスクを無くすことを目的に開発されました。
リップルの特徴は、Ripple社管理のもと運用され、発行枚数の上限は1000億枚までと決められています。さらに決済内容の承認は、Rippleネットワークに承認された企業や組織のみが承認を行うPoCの取引証券方式を採用しているため、特定の人物しかマイニング作業が行えないやや中央集権的な仕様です。
また、異なる通貨の交換が可能な「XRP」と呼ばれるブリッジ通貨によって、低コストかつ高速決済を実現させました。
リップルのメリット
リップルのメリットは送金時間の速さとコストの削減です。特に海外銀行への国際送金では、中央銀行を含めた複数の銀行を経由するため受領者に届くまでに時間がかかり、送金者は手数料の負担を強いられます。
しかし、Rippleネットワークでは全世界の銀行が「XRP」によって直接アクセス可能であるため、大幅な時間短縮と手数料の削減が可能です。またネットワークへのアクセス時間にも制限が有りませんので、時差によるタイムロスもありません。
リップルの将来性
リップルは銀行間の送金を目的として開発されましたが、現在では小売の決済通貨としても利用され始めており、GoogleやAppleもリップルを用いた決済機能の開発を進めている事が知られています。この機能が実装されれば、ネットショッピングで気軽にリップルで支払う事が出来る様になり、利便性が高まります。また、送金システムが未発達な途上国や地域でも利用できれば、安価で生活を向上させることにもつながるでしょう。
当初の目的であった銀行間送金システムについても大手銀行や金融機関の参入が続いており、このまま順調に進めば国際的な送金システムの多くのニーズを満たせるでしょう。リップルは発行枚数が決められているがゆえに新規発行されず、アクセス費用の支払いによりわずかずつ総量を減じていきます。通貨量の減少と、使用ニーズの増加がこのまま継続すれば、XRPの相対的価値は上昇し続けるでしょう。
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