現在既に開始されているマイナンバー制度ですが、当初の思惑とは異なり、個人情報の管理や役所との連携等がうまくいっておらず、まだまだ社会に浸透しているとは言えない状況にあります。そんな中、2017年12月18日に株式会社ガイアックス(Gaiax)がスマホとマイナンバーカードを利用した本人認証アプリ「TRUST DOCK」を提供開始しました。これにより、さまざまなシーンで本人確認等の手間を省く事が期待でき、各種サービスの利便性が高まる事が期待されています。

ガイアックス「TRUST DOCK」とは

ガイアックスがリリースした「TRUST DOCK」というアプリでは、スマホに個人番号カードをかざす事によって本人確認を完了させることができます。その仕組みは、スマホのNFC通信を利用し、マイナンバーカードに組み込まれている電子証明書を読み取り、専用システムに送信。そして、送信された電子証明書の検証が終わり次第本人確認が完了するといったものです。
このサービスのメリットとしては、オンラインでの本人確認を行うために別途専用のICカードリーダーを用意する必要がないという点が挙げられます。基本的には顧客側はスマホとマイナンバーカードさえあればオンライン上で本人確認が完了するため、フィンテックを始めさまざまな分野で活用する事ができるでしょう。
アプリの利用に関しては、秋田県湯沢市の市役所会議室シェアリングサービスである「湯澤スペースシェアリング」にて試験運用が行われており、利用者はオンライン上で本人確認を行い、スペースの予約を完結させる事が可能になっています。
ただ、「TRUST DOCK」による本人確認を行うためにはNFC対応のスマホが必須となるため、利用の際はデバイスのスペックを確認した方が良いでしょう。

出展:https://trustdock.io/business/

今後期待できる「TRUST DOCK」の展開

「TRUST DOCK」の展開としてまず期待できるのは、銀行や証券会社、仮想通貨取引所等の口座開設時の本人確認の簡略化でしょう。現在主流である身分証明書を使用した本人確認を行う場合は郵送でやり取りをする事になりますので、どうしても手続きに数日間はかかってしまいます。ですが、もしオンライン上で本人確認の手続が完了できれば、口座開設に要する時間が大幅に短縮される可能性があります。
また、行政サービスを利用する際にも有用性を発揮する事ができるでしょう。上述したような公的施設のスペース予約も可能ですし、専用システムである「サイバートラスト オンライン本人確認プラットフォームサービス」上では本人確認だけでなく所在確認、生存確認等も可能なため、現在行政が負担している業務やリソースのコストを削減につながるのではないでしょうか。

他にもあるNFCによる公的個人認証

カブドットコム証券

「TRUST DOCK」以外にも、独自にNFCによる本人確認を行っているサービスが存在します。その一つとして挙げられるのが、カブドットコム証券(カブドットコム証券株式会社)です。こちらでは口座の開設をスマートフォンのNFC機能とマイナンバーカードの公的個人認証サービス(JPKI)を使用して行う事ができ、その際にオンライン手続きで本人確認を完了させる事が可能になっています。証券口座を開設する際の通例としては、オンライン上で必要事項を記入し、本人確認証を撮影して送信、その後IDとパスワードが届くまでの対応に日数を要していましたが、本人確認の簡略化及びマイナンバーカードの電子証明書を読み取る事で住所・氏名などを入力することなく口座を開設する事ができるようになりました。
その利便性もさることながら、ペーパーレスによる環境保護も同時に実践する事になり、地球環境にも優しいシステムと言えるでしょう。

出展:https://kabu.com/company/pressrelease/20170922_1.html

公的個人認証サービスポータルサイト

地方公共団体情報システム機構が運営しており、公的個人認証サービスを行う際に安全かつ確実な手続きを行うための「利用者クライアントソフト」という機能を安価で提供しています。活用範囲は一般家庭から職場まで。行政手続きの個人識別の利用や情報システムの支援を目的とした機関であり、今後もサービス向上や電子申請の普及を後押ししてくれるでしょう。

出展:https://www.jpki.go.jp/index.html

マイナンバーは2020年に向けて進化中

現時点ではまだ利用が多いとは言えないマイナンバーですが、「TRUST DOCK」がリリースされた事により、今後は公的機関やインフラサービスとの連携が期待されます。ですが、マイナンバーや電子証明書に記載されている個人情報は大変デリケートため、民間事業者の参入に関してはパソコンのセキュリティ対策や管理体制など慎重に検討した方が良いかもしれません。
なお、民間事業者に向けては総務省より下記ガイドラインが発表されています。電子マネー決済が普及する中、こうした電子申請システムでより利便性の良い街ができてくるでしょう。

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