飲食業界向けのIoT(Internet of Things・もののインターネット)として、ボクシーズ株式会社が発表したPutmenu(プットメニュー)。飲食店向けオーダーシステムに対して、オペレーションコスト削減、多言語に対応するなど、革新的なサービス展開を可能にしました。Putmenuを導入すれば、店員が立ち会うことなくスマホで注文・支払いが可能。また、多言語に対応しているため今後のインバウンド対策としても期待されており、飲食店を中心に導入が進められています。
出典:http://boxyz.com/putmenu/より
Putmenuは、「MCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム) award 2017」にて、グランプリに当たる総務大臣賞を受賞しました。MCPC wardとは、モバイルコンピュータの高度なシステムにより、業務効率化や社会貢献などの成果をあげた事例を表彰するアワードです。Putmenuの表彰ポイントとして、どんな機能があるのか掘り下げていきます。
多言語
2017年6月現在の対応言語は、英語、日本語、中国語(簡体/繁体)、韓国語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、タイ語、カンボジア語、ベトナム語、ロシア語、スペイン語の12か国語。外国人の来店客にも、Putmenuがあれば言語の障壁なく注文業務や会計業務が行えます。
席を確保したらスマホで注文
席を確保した後は、注文や会計時に店員が立ち会うことはありません。テーブルオーダー方式の場合、利用者はPutmenuアプリ上でメニューを確定し、テーブルにある専用シート(PaperBeacon・ペーパービーコン)の上にスマホを置く事で注文できます。
支払はドコモ、au、ソフトバンクなどのオンライン決済機能や、LINE Pay、Alipay、PayPal等の電子決済システムを利用できます。
食券方式のオーダーにも対応しており、スマホにてメニューを決めた後は発券機付近のPaperBeaconにかざすと食券が発券されます。
顧客データの分析可能
ユーザー情報とオーダー内容を紐づけられるため、顧客の利用データを蓄積できマーケティングに活用できます。
以上の機能によって、人手不足が叫ばれる飲食業界のオペレーションに対してコスト削減、細分化されたマーケティングを可能とする、革新的なものとして評価されたと考えられます。
出典:http://tagcast.jp/paperbeacon/より
前項で度々触れた「PaperBeacon」。Putmenuを語るには欠かせない重要な技術です。
「PaperBeacon」は「表面認識ビーコン」とも呼ばれ、株式会社タグキャストが帝人やセルクロスと共同開発しました。
厚さ1.5mm程度のシート型発信機で、面として信号を発信することが可能。従来のBeaconは空間に電波を発信するものでしたが、PaperBeaconはシート表面から数cmの範囲のみに電波を発信しており、シート上に置いた特定のスマートフォンやタブレットだけに情報を提供できます。
そのため、利用中のテーブル位置や注文メニューなどの特定が可能です。電源供給は、電池式であり、約6ヶ月の寿命があります。
シートは、用途に大きさが変更でき、テーブル内に埋め込んで使うことも可能。一見何の変哲もないインテリアをIoT製品化することも。飲食店での利用以外にも、スタジアムの観客席にいながらドリンクや軽食の注文、大学の出欠確認への利用を想定しています。
「Pizza&Winery ESOLA shibuya」
株式会社ヴィクセスの展開するイタリア料理店「Pizza&Winery ESOLA shibuya」では、シャープのPOSシステムと連携させたPutmenuを導入しました。ヴィクセスでは今後見込まれるインバウンド需要に対応するため、Putmenuによるオーダーや決済時の業務効率化だけでなく、既存のPOSシステムと連動させることで顧客情報を活用したプロモーション戦略の立案を思案中。
お台場「Frame café」
「Frame café」は東京ジョイポリス内のカフェレストランであり、レインボーブリッジや東京タワーを一望できることから外国人観光客の来店が増加しています。多言語対応の機能や、混雑時にも店員を待たずにアプリから直接オーダーが取れる点が有効活用されているようです。
イベントでも活用
イベント会場向けには、物販の管理、スペースの縮小が可能なシステムを提案しています。顧客はアプリにて商品を選択、決済。販売店は、オーダーに応じて商品をピッキングして顧客のアプリに商品受け渡しが可能である旨通知します。販売窓口では、用意された商品を受け渡すだけとなるため、オペレーションの時間と場所を大幅に減らす事が可能です。
テーブルのIoT化で飲食店が変わる
Putmenuを用いたIoT化によりヒューマンエラーを未然に防ぎ、オペレーションコスト減、顧客別のマーケティング戦略の変更など多くの効果が期待できます。働き手不足の状況を解消するのためにも、今後飲食店を経営するにあたって導入を検討したいツールです。