日本は、キャッシュレス化が世界に比べて遅れているといわれます。実際、2019年時点での普及率はわずか2割程度でした。
しかし、2019年10月の消費税率引き上げと同時に行われた「キャッシュレス・ポイント還元事業」によって、普及率は一気に上がりました。一般社団法人キャッシュレス推進協議会によれば、5割前後が「キャッシュレス・ポイント還元事業」をきっかけにキャッシュレス決済を始めたとしています。
でも、逆に言うとまだ半数近くはキャッシュレス未対応ということ。「決済手数料を支払ってまで導入する意味はないのでは」と考える経営者の方も多いのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、店舗、とりわけ美容室・理容室・ヘアサロンにとってのキャッシュレス決済のメリット・デメリットを解説します。ノーショー対策や集客対策につながるポイントや、最新の意識調査の結果も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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【最新調査】コロナ以降のキャッシュレス利用は?
コロナ禍で、かつてないほど「非接触」のニーズが高まっています。不特定多数の人が触る現金の受け渡しも避ける傾向が強まったとされていますが、実際はどうなのでしょうか。
興味深いのが、電通が2020年12月下旬に実施した「コロナ禍での生活者のキャッシュレス意識に関する調査」(※)です。それによれば、47.7%と半数近くが「2020年3月の緊急事態宣言以降、支払いや買い物に占めるキャッシュレス決済の比率が増えた」と回答しています。
※株式会社電通 ニュースリリース(2021年1月29日)
「電通、コロナ禍における生活者のキャッシュレス意識調査を実施」
https://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2021004-0129.pdf
キャッシュレス決済が増えた金額帯でもっとも多いのは「1,000円超~5,000円以下」で48.0%、次いで「500円超~1,000円以下」が41.0%、「300円超~500円以下」が25.8%となっており、小額決済でも積極的に使うようになってきていることがわかります。
では、キャッシュレス決済で何を重視しているのでしょうか。「ポイント特典」(58.5%)「使える場所が多い」(45.5%)の上位2位から、お得感と利便性に魅力を感じている人たちが多いことがわかりますが、注目したいのは3位、4位の「支払いのやりとりが速く済む」(43.3%)「小銭なる現金での支払いに面倒を感じなくて済む」(39.5%)でしょう。これは、「支払いが煩わしい」という意識の表れであることは間違いなく、後述するメリットの部分にも大きく関係してくる部分です。
キャッシュレス決済の種類
キャッシュレス決済にはいろいろな種類がありますが、大きく分けると「カード決済」と「スマホ決済」の2タイプです。
カード決済はクレジットカードやデビットカードを使う方法のことです。最近はクレジットカードも、非接触型(コンタクトレス決済、タッチ決済などと呼ばれます)が増えてきておりVisa、MasterCard、American Express、JCB、Diners Clubの5大国際ブランドはすべて搭載しています(※)。
※Diners Clubは2020年12月に搭載
https://www.diners.co.jp/ja/merchant/press/inf_20201201.html
スマホ決済は、QRコード・バーコード決済と非接触決済に分けられます。QRコード・バーコード決済は、スマホにQRコードやバーコードを表示させて店舗側に読み込ませたり、店舗が提示したQRコードを読み込んだりして決済します。非接触決済は、店舗の端末にスマホをタッチさせる方法です。
このほか、SuicaやPASMOのような交通系ICカードなどの電子マネーで決済するケースもあります。ただし、交通系のように事前にチャージするタイプの電子マネーは上限額が定められているため(交通系は上限2万円)比較的チャージ額が低い傾向があり、美容室・理容室・ヘアサロンでの利用で選択する人は少ないかもしれません。
カード決済 | ●クレジットカード ※Visaタッチなど非接触型もあり ●デビットカード |
スマホ決済 | ●QRコード・バーコード決済 (PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払いなど) ●非接触決済 (Google Pay、Apple Payなど) |
キャッシュレス決済を導入するメリット
では、美容室・理容室・ヘアサロンがキャッシュレス決済を導入するメリットは何でしょうか。店舗側の目線でまとめてみました。
会計やレジ締めの時間が削減できる
完全にキャッシュレス化すれば、レジ締めや釣り銭を用意するといった作業を一切なくすことができます。とりわけ人手が足りない場合、そのメリットは非常に大きいといえるでしょう。当面は現金決済と併用したとしても、キャッシュレス決済のお客様にかかる会計の時間は大幅に短縮できるため、効果を実感できるのではないでしょうか。現金のやりとりで起こりがちなミスやトラブルを未然に防止できるのも、意外と大きなポイントです。
単価アップが期待できる
「手持ちの現金が不足しているから、今日はこのメニューでいいわ」というお客様は少なくありません。結果、最適なメニューが受けられなくてお客様の満足度も十分に得られないということにもなります。その点、後払い型のキャッシュレス決済を利用しているお客様ならば、そのときの要望や髪の状態に合わせた最善のメニューをご提案でき、店舗もお客様もウィンウィンの関係を維持できます。
「非接触」をキープでき安心感を提供できる
現金にウイルスが付着する可能性については議論の分かれるところですが、少なくともお客様にとって、現金に触った手で施術されることは心地良いとはいえないでしょう。「現金に触るたびに手指消毒や手洗いをすればいい」、確かにそのとおりですが、触らなければそのプロセスも不要となります。より安心感をお客様に提供できるうえ、「感染防止対策を徹底しているサロン」とアピールすることもできます。
事前予約・決済機能を使えばノーショー対策にも
クレジットカードやスマートフォンの予約決済機能を使えば、直前の無断キャンセルやノーショーの抑止効果が期待できます。また、お客様の来店予約時間をスタッフ間で即座に共有できるなど、効率的な管理が可能となり“美容室のDX”を強力に進めることができます。
お客様データの管理ができ集客施策も打ちやすくなる
こちらも、事前予約・決済機能を活用するメリットです。お客様のスマホとつながることができますので、ポイント施策やキャンペーンのお知らせをプッシュ通知で行うなど、来店頻度を高めたりリピーターへと育成する施策を展開したりすることも容易になります。

キャッシュレス決済導入のデメリット
逆に、美容室・理容室・ヘアサロンがキャッシュレス決済を導入するデメリットは何でしょうか。これは、コストとキャッシュフローの2点に集約されます。
コスト面では、初期導入費用と決済手数料を考慮する必要があります。いずれも、決済会社や契約内容によっても変わるので、比較して検討するべきでしょう。キャッシュフローは、決済から入金までの時間差がありますので、現金に比べればうまく回せないおそれがあることは否定できません。ただし、従来に比べれば入金までの時間は短縮しており、そこまでシビアに捉えるべきかどうかはそれぞれの事情によって異なります。
また、いずれの問題も、その店舗がどのようなお客様を抱えているかによって事情が変わってくるでしょう。いずれキャッシュレス決済へシフトしそうなお客様が多いのか、現金決済を貫きそうなのかを見極めたうえで判断するのもひとつの方法です。
政府の動きを見ながらまずは検討を
キャッシュレス決済にはメリットもデメリットもあることをご紹介してきました。とはいえ、政府はキャッシュレス化を進める方針を明確に打ち出しており、2025年までに普及率を4割程度に、将来的には80%到達をめざすとしています(※)。普及率を伸ばすため、冒頭で紹介したようなキャッシュレス還元事業を再び展開する可能性も高いため、すぐに導入しないとしても、今のうちに検討だけはしておくことをおすすめします。
※経済産業省「キャッシュレスの現状及び意義」(2020年1月)
https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/image_pdf_movie/about_cashless.pdf
Samuraiは、とりわけ事前決済およびキャッシュレス決済ソリューションに力を注いでまいりました。豊富な導入実績がありますので、初めてキャッシュレス決済の導入を検討する店舗の事業者様にも、現状やニーズに合わせた適切なアドバイスをすることが可能です。
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