インターネットと繋がったモノ=Iotが私たちの普段の生活に普及することにより、パソコンや携帯電話、スマートフォンといったデバイス経由ではなくても、インターネットにアクセスすることができるようになりました。従来ではオフラインだった行動も今後はネットワークでつながるため、新たなマーケティング手法のひとつとして注目されるでしょう。今回は、IoT時代における、IoTでできるマーケティングについて紹介します。

IoTとは

IoTという言葉は造語で、Internet of Thingsの略称で、日本訳では「モノのインターネット」と呼ばれます。私たちの生活に必要な家具や家電がネットに接続され、キーボードやボタンでの入力ではなくセンサー反応でクラウド環境やサーバを通したインターネット利用ができるのです。

例えば、冷蔵庫や洗濯機などがIoT化した場合、それらの商品から発信される情報をクラウド環境に蓄積することができます。冷蔵庫であれば、保存中の品物に対する細かな調査が可能でしょう。食品の消費ペースや消費傾向など、今まで読み取りにくかったユーザーの行動をビッグデータとして企業のマーケティングに繋げられる可能性があります。
生活者のライフスタイルを大幅に変えることなく静かに浸透するIotに、大きな期待がかけられています。

iotマーケティングの事例・商品

コカ・コーラ(Coke On)

コカ・コーラ社の取り組みとしては、コカ・コーラが設置する自動販売機をIoT化し、スマホと連携する仕組みを構築しました。自動販売機で購入した飲料1本につき、連携したスマホアプリ上で電子スタンプが1つ付与され、スタンプが15個たまると1本無料というサービスです。

一見、コカ・コーラとしては損をしているように見えますが、IoTで自動販売機の購入情報がアプリを通してデータとして蓄積されていくのです。自動販売機で購入した商品や場所、時間帯、さらには天候などの情報を組み合わせることにより、自動販売機の商品のラインナップを季節・時期ごとに変更。また、顧客が購入した飲料水のジャンルを元にトレンド分析を行い、新しい商品開発につなげることができるのです。
顧客にとっては自動販売機でお得に飲料水が購入できる点、従来からの購入スタイルを崩していないことが成功のポイントでしょう。企業にとって必要な情報を収集できる要素が備わり、お互いがWin-Winの関係が成り立っています。今後のデジタルマーケティングはIotデータ活用で、ユーザー属性の細分化が可能でしょう。

スマートシティ

スペインのバルセロナシティでは、Iotのテクノロジーを活用した「スマートシティ」の試みを実施しています。バルセロナシティは、Microsoft社と連携し、街全体をIoT化。市内全域の駐車場の空き状況をリアルタイムで把握できるスマートパーキングをはじめ、自動車の交通量に応じて街灯の明るさを調整するスマートパーキング、そしてバスの運行情報や広告配信のバス停であるスマートバスストップといったインフラ設備を充実させました。

今までは人間が管理していた領域をIoT活用によってデータ収集・管理し、エネルギーの需要に対して最適な供給量で街全体を動かし、生活の質を向上させる取り組みです。インターネット化したインフラ設備によって、常に街全体の情報共有を住人に行えるようにしました。

Google Home

GoogleHomeは、人工知能(AI)を搭載した音声スピーカーです。利用者の声によって反応し会話が楽しめます。もちろん、天気やニュース、交通機関情報など知りたいことについてはインターネットを通して音声で提供してくれます。

以上のように、モノがインターネットにつながるということにより、生活自体が便利に、豊かになることが期待されています。企業とっては消費者がどのようなものを求めているかをデータ活用によってビジネスにつなげていくことができるのです。

IoTの活用のポイントについて

IoTの活用によって得られる利益や利便性については、顧客や消費者、企業にとっては大変重要ですが、その利益や利便性を得るためには、生活スタイルを大幅に崩さないようIot化する仕組みが必要です。

例えば先ほどのスマートシティの事例についても、人々の生活スタイルを変えることなく、生活の利便性向上につながりました。従いまして、これまでの生活スタイルやルールを変えることなく、ものとインターネットが繋がり、付加価値を見出していくようなIoTの設計が重要なポイントとなるのです。
今後はすでに大きく顕在した欲求に対してではなく、その前に発生する行動を先読みして利便性向上や商品の訴求ができるかもしれなのです。iotマーケティングによるブランド体験やユーザー体験の質向上。より生活者にコミットしたIot広告での訴求が将来的に増えていくでしょう。

IoTでよりコミットしたマーケティングを

現状iot製品の種類は多くはなく、セキュリティ面についてはまだまだ改善の余地がありますが、今後の業界全体の商品開発や知識レベルの向上により、確実にマーケティング領域で大きな存在となるでしょう。
データを活用して企業戦略が確実に当たるようにするには、IoTのデータ活用の方法や分析手法が大変重要であり、マーケターによるデータ分析力がますます必要になってくるものと思われます。ユーザーとの新しいコミュニケーション方法であり、ビジネスソリューションが期待できるテクノロジーに対して知見を深めていきたいところです。