企業の成長には、新規顧客の獲得や売り上げアップは重要な目標です。その目標を達成するためには、自社サービスや製品を買ってもらう仕組みブランディングとマーケティングという2つの要素が必要ですが、この2つの要素は混同されやすく、マーケターのなかでも双方の意味に関して曖昧な認識を持つ方も少なくありません。
今回は、ブランディングとマーケティングとはどのような役割と、それぞれどのような違いがあるのか、紹介します。
ブランディングとマーケティングの違いは「活動」か「手法」
そもそもブランディングと、マーケティングはどのような意味を持っているのでしょうか。
ブランディングとは、その製品に対する”イメージ”を消費者に思ってもらうためのコミュニケーション活動を示します。例えば、「きれい」「安い」「憧れ」「使いやすい」というイメージを、商品の特徴と結びつけるための活動、つまりブランドイメージやブランド価値を定義することを言います。
一方マーケティングとは、商品が売れる仕組みや商品を消費者に届けるまでの手法のことで、o2oやオムニチャネルなどを指します。
どちらも、商品を売ることを目的にしていることもあり、ブランディングとマーケティングの領域が多少重複する部分がありますが、アプローチ方法が異なります。
ブランディングの役割と具体的な取り組み
ブランディングの役割
ブランディングは日々消費者の中に、「かわいい」「美味しい」「使いやすい」「効果がある」「芸能人が使う」などを商品のイメージとして関連づけ、そのイメージを蓄積させる活動のことを言います。消費者にイメージが定着すると「安い」=「A社の製品」と、商品を想起させやすい状態にできるのです。
しかし、さまざまなモノやサービスがあふれる世の中、商品の差別化や商品イメージ定着は難しいものです。ブランディングにおいて、他社サービス・製品と差別化ができていることが大前提。さらに、売りたいサービス・製品はどのようなことに優れているのか、機能性やビジュアルなど細部まで考えて初めて会社独自のカラーがでます。
ブランディングの具体例
ブランディングは、ある程度イメージが定着している芸能人やスポーツ選手を起用し、商品を宣伝するケースがあります。この手法は、芸能人やスポート選手の価値が商品に加わることにより、ブランド価値を高めてくれます。さらに、最近ではインスタグラムから誕生したインスタグラマーを起用した事例もあります。芸能人ではありませんが、インスタグラマーをフォローしているファンにとっては憧れで親近感の湧く人物からのレコメンドであり、その影響力は絶大です。
マーケティング役割と具体的な取り組み
マーケティングの役割
一方マーケティングは、自社の商品を見つけてもらうことや、顕在顧客や潜在顧客を増やす仕組みを作る施策のことを言います。例えば、マーケティングの仕組みを作る上で必要となるものは、ニーズや市場調査、ターゲット層のインサイトや行動を知ることでしょう。
ペルソナ設定、分析ツールでのデータ分析や検証により、多くの消費者にいかにして商品情報を伝達するかプランニングが必要です。企業目線での一方的な戦略では情報が遮断されてしまう可能性があるため、どの媒体でどんなコンテンツを、いつどんなタイミングで発信するか戦略を練ることは、時間や場所を問わずwebコンテンツに接触できる時代では必須の考えでしょう。
マーケティングの具体例
ソーシャルネットワークサービス(SNS)、Webサイト、ポスター、CM、紙媒体などを通じ、テキストや動画コンテンツなどを制作・配信するなど情報露出できる場は多くあります。しかし、ユーザーの意思によってコンテンツからの離脱や読了率が左右されるため、オムニチャネルやO2Oの手段が増えているのです。ユーザー体験(UX)や感情移入や共感をしてもらう「ブランド体験」などを考慮した接点、コンテンツを通してユーザーのリードを進めていくことが求められます。
双方のバランスが必要
ブランディングイメージが固まっていたとしても、適切なマーケティングをしなければ、消費者に商品を発見してもらえない状態に陥ってしまいます。自社の商材を魅力的にアピールできる媒体やプラットホーム選びやターゲット設定などどのように宣伝し、仕組み化していくかは「活動」と「手法」の適切な運営にかかっています。