日本では、キャッシュレス決済の方法としてSuicaやiDのようなFeliCaを搭載したカード決済が一般的になりました。決済に使われるカードには2種類あり、事前に現金をチャージするプリペイド方式と、使用した金額をカードに紐づけられた口座から後日引き落とされるポストペイ方式があります。便利なカード決済ですが、まずはそれぞれの方式の特徴やメリットとデメリットなどについて知っておいたほうが良いでしょう。集客に欠かせなくなった電子マネーとプリペイド・ポストペイについて紹介します。

プリペイド・ポストペイの違いとは

プリペイド方式とは先述した通り、事前に現金をチャージしておく方式で、SuicaやICOCAなどの交通系ICカードの他、Edy、WAON、nanacoなどにも採用されています。使用できる金額の上限は、チャージされている金額の範囲内に限られ、比較的少額な決済で利用しやすいタイプです。
コンビニや駅の券売機などPOS端末や専用のチャージ機を通し現金でチャージするか、クレジットカードから電子決済にてチャージを行うことが出来ます。

ポストペイ方式とは、使用した金額を後からクレジットカードや銀行口座等から引き落とす方式で、iD、QUICPay、PiTaPaなどに採用されています。後払い式のため、クレジットカードと同様の限度額の設定や、信用調査が必要です。

ちなみに双方のシェアを比較すると、手軽さからかプリペイド方式が圧倒的に多く、電子マネー発行枚数TOP5はすべてプリペイド方式です。

■電子マネー発行枚数TOP5
1位楽天Edy:9,710万枚
2位 WAON:5,950万枚
3位 Suica:5,859万枚
4位 nanaco:4,912万枚
5位 PASMO:3,128万枚

■ポストペイ方式利用数TOP3
iD:2,259万枚
QUICPay:467万枚
PiTaPa:296万枚

引用:月刊消費者信用2016年9月号

双方のメリットとは?

プリペイド方式のカードは、カードへのチャージさえあれば、FeliCaに対応した店舗や交通機関で即時使用が可能です。前払いのため、引き落とし口座の設定や信用調査など個人情報との紐付も不要であり、即日発行できるのがポイント。発行事例としては、店舗専用のプリペイドカードを発行し、そのカードを使うことによって割引やキャンペーンを行うことで顧客の囲い込みを行っています。

また、電子マネーを使用したとき、クレジットカード利用によるチャージの際にポイントの2重取りが可能となるケースが有ります。

【ポイント2重取りの例】
■ビュー・スイカカード+Suica
ビュー・スイカカードによるSuicaへのチャージ時:ポイント還元1.5%
Suicaによる支払い時:ポイント還元0.5~1%②楽天カード+Edy

■楽天カードによるEdyへのチャージ時:ポイント還元0.5%
Edyによる支払い時:ポイント還元0.5~1%
利用シーンによってポイント還元率が変わります。支払い時のストレスがなくポイントカードとしての側面を持った便利なカードは、日常的な買い物をより楽しくするでしょう。

ポストペイ方式ではクレジットカードや銀行口座に紐づけているため、クレジットカードの利用限度額に応じた決済ができるので、高額な支払ができます。また紛失時にはクレジットカード会社の保証を受けることも可能です。代表的なポストペイ方式の電子マネーであるiDは使用可能な加盟店舗も多く、各種コンビニやスーパー、ドラッグストア、飲食チェーン店など普段の生活で立ち入る場所の多くが対応しています。

双方のデメリットとは?

プリペイドカードのデメリットとしてはチャージに手間がかかることが挙げられます。クレジットカードと紐づけることで、残金が設定金額よりも少なくなった際に自動的にチャージするオートチャージ機能もありますが、使用できるクレジットカードや端末が限られるなど、一定の制限があります。
また、チャージ上限額も比較的少額でSuicaは上限2万円、nanaco、WAONは上限が5万円となっており高額決済には向いていない面も。また、カードを紛失した際の残高保証がありません。

ポストペイカードでは、クレジットカードと同レベルの審査が必要となります。また、審査機関は発行を待つ必要があるため、利用開始までの時間がかかってしまいます。

顧客と店舗のメリットを考えて

従来よりクレジットカード決済が利用されてきましたが、日本では欧米ほど広く浸透してきませんでした。この背景には日本では現金の信用が高かったほか、カードを使用するために必要なリーダなどの端末や、認証の手順が利便性を欠いていたからだと思われます。

FeliCaの機能によって、支払をカードやモバイル端末のタッチ、かざすだけで済ますことが出来、駅改札の利用を中心に急速にユーザーを増やしました。また、スマートフォンに複数の電子マネー情報を格納して、現金を持ち歩かないでも生活が送れることが実現しています。

店舗サイドから見ても、レジ業務で必須だった金銭の受け取り時間がなくなり、クレジットカードと紐づけられている方式の場合は顧客の購買行動に関するビッグデータを収集してマーケティングに生かすなどの付加価値も生まれます。プリペイドやポストペイ型電子マネーを駆使して店舗専用カードを作り、少しでもリピーターや新規獲得につなげることが理想です。

 

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