近年、便利な決済手段として電子マネー利用者が増えています。“荷物が減る”“レジの待ち時間が減る”などのメリットがあり広く普及しています。一方企業側においても、顧客の利便性の向上だけでなく、データの収集などの面から電子マネー導入のメリットがあります。しかし電子マネーの導入には初期費用等のデメリットも存在します。ここでは、電子マネーの導入に関し、企業側から見たメリットとデメリットを解説して行きます。

電子マネーの使用・導入メリット

電子マネーを導入するメリットの1つにスピード決済があります。日本では、非接触型の電子マネーの1つであるFeliCa技術を使ったものが主流となっており、通信時間が短く非常にスピーディーな決済ができます。

また、面倒な小銭管理を回避することができます。通常は小銭を出すために時間や手間、落下による会計ミスも発生しがちです。電子マネーにすることで人的ミスを減らし効率的な会計が可能です。電子マネー導入によりストレスのないスムーズな買い物が可能になり、結果としてリピーターとなる消費者が見込めるのです。電子マネー決済で、消費者も企業もwin-winの関係になり得るでしょう

このほか、顧客データを管理できることも、大きなメリットの1つです。電子マネーもデジタル技術の一種であり、購入品や購入層などの膨大な購買データを蓄積できます。顧客データを活用することで、商品のマーケティング戦略を立てることができ、新しい市場開拓に向けた施策につなげられるようになります。

電子マネー導入の事例

続いて、電子マネーの導入事例や利用シーンについて触れて行きます。

交通系ICカード

電子マネーの代表格と言えるのが交通系ICカード。SuicaやPASMOなど多くの方が利用しています。
切符を買う手間が省け、スピーディに改札を通ることができます。また、実は切符よりも若干乗車賃が安いというのもポイント。便利なものには、顧客が飛びつく時代でもあるでしょうが、まさに好例と言えます。

大型商業施設及び、大規模チェーン店での利用

身近な商業施設においての既存電子マネー導入や大規模チェーンでの独自電子マネーの導入も進んでいます。

前者ですと、コンビニ各社が数種の電子マネーや交通系ICカードでの決済に対応を開始し利便性の向上に役立っています。

一方後者ではイオングループの”WAON”やセブンアンドアイホールディングスの”nanaco”など独自の電子マネーを取り入れています。WAONはイオン、まいばすけっと。nanacoはイトーヨーカドーや西武・そごうなど、日常的に使われる各グループの代表的なスーパーマーケットを中心に対応。他には、大型飲食チェーン店のマクドナルドやデニーズ、コメダ珈琲など利用可能な店舗数を増やし、ポイント還元などによるユーザーの囲い込みに力を入れています。

少額決済に電子マネー

買い物系であれば、ロッカーや駐車場さらには自販機などでも使うことができます。数百円程度の小銭決済を手軽にできるため、消費者にとっても利便性が高いと言えます

電子マネー導入のデメリット

メリットがあるということは、デメリットもあるのが世の常でしょう。電子マネー導入にも当てはまります。では、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか?

初期費用がかかる

電子マネー導入時の初期費用や手数料が必要です。電子マネー決済をするためには、専用POS端末が必要です。また管理費や手数料などのコストも出てきます。ややニッチで大量に販売する商品を扱っていない、薄利多売、客単価の低いお店では、負担になる可能性があります。

スタッフの教育

扱い方はもちろん、電子マネー毎の特徴や使いなど、基本的な情報知ってもらうことが重要です。

もちろん、これらのデメリットを覚悟し、集客強化や新規市場開拓のため、顧客データ獲得のみを目的として導入することも、間違いではないでしょう。

いずれせによ、電子マネーにはメリットばかりではありません。浸透している世の中であっても、十分検討した後に導入を決めるべきでしょう。

消費者・店舗ともにwin-winな関係を

電子マネーは非常に便利なものであり、幅広いシチュエーションで使われています。消費者だけでなく、スピーディな決済や、顧客データの蓄積による購買傾向などのチェックも容易になるため、店舗等にとっても非常に有益です。

しかし、状況によってはコスト負担が大きくなる可能性もあり、導入により100%売上があがる魔法のツールではありません。

そうは言っても、電子マネー導入により、消費者も決済が楽なためリピーターになる可能性が高まります。導入するのであれば、消費者も店舗もwin-winな関係が見込めると判断してからでも遅くはないでしょう。

 

次の関連コラム:おサイフケータイとApple Payの違いと将来性