シェアリングエコノミービジネスの代表的なサービスである「民泊」。2018年6月には、民泊に関する新法が施行され、新たな成長市場としてますます注目を集めています。

一方で、民泊については、すでにさまざまなトラブルがニュースなどで報道されています。

そこで、本コラムでは、そんな民泊でよくあるトラブルを通して、民泊を含むシェアリングエコノミービジネスが抱える課題を考えます。

2020年、民泊市場は1,000億円規模に!

個人間が部屋を自由に貸し借りできるプラットフォーム「Airbnb(エアー・ビー・アンド・ビー)」などの登場によって注目されるようになった「民泊」。借りる側にとっては宿泊施設を安く利用でき、貸す側にとっても、使っていない部屋(家)を貸すことで収入になるという、双方にメリットのある仕組みです。

市場も急成長しており、2020年には1,000億円規模にまで拡大するとの調査結果も示されているほどです。このような急成長の背景には、訪日外国人の増加にともなう宿泊施設の不足や、国内利用客の増加などによる需要の高まりがあります。また、法整備が進んできたことを受けて、これまでは「Airbnb」などの海外サービスや、国内のベンチャー企業が中心となって行われてきた事業展開に、大企業が参入。事業者数の増加も後押ししていると言えるでしょう。

さらに、上述のメリットに加え、空き家を活用する民泊は、地方創生にもつながる可能性があります。そのため、企業投資家をはじめ、IT業界や小売業界、不動産業界や旅行業界など、あらゆる方面から熱い視線を集めている事業のひとつとなっています。

「民泊」でよくあるトラブル事例

あらゆる方面から注目され、さらなる成長が予測される「民泊」ですが、様々なトラブルも報告されています。

シェアリングエコノミービジネス全般に言えることですが、プラットフォームを活用して取引を行っていても、最終的には個人間で契約を結ぶことになります。そのため、安全な利用は双方の良心にゆだねられている部分が多いものの、中にはそれを自覚できていない人も…。実際に、民泊においては、次のようなトラブルに遭遇する可能性があります。

民泊 トラブル

借りる人は当然、日本人だけとは限りません。外国人利用者を相手にした場合、貸す側が思っていた以上に習慣が違ったためにマナー違反が起き、トラブルになってしまうケースも。また、事前に身分を確認したとしても、本当にその人が泊まっているかを確かめるすべもないため、セキュリティ面でも不安が残ります。

一方、借りる側は、プロフェッショナルが運営するホテルなど通常の宿泊施設とは異なるため、さまざまなとまどいを感じる可能性が高くなります。貸す側と借りる側に明確な「決まりごと」がないため、ささいなことからトラブルに発展してしまう可能性もあります。

当事者間のトラブル発生を未然に防ぐことがシェアリングエコノミービジネスの課題

前述したようなトラブルが起こってしまった場合、一般的には両者の間に入って解決するような救済機関はありません。そのため、トラブルは基本的に「当事者間」で解決しなければならず、交渉が長引いてしまうことも…。

そのため、シェアリングエコノミービジネスでは、当事者間のトラブルを未然に防ぐ仕組みを構築することが大きな課題となっています。そして、その役割はプラットフォームを提供している事業者が担う必要があり、実際に「トラブルを未然に防ぐ」仕組みを取り入れたサービスが提供されています。

例えば、民泊プラットフォーム「TripBiz」は、事前審査を通過した日本企業の社員しか利用できないサービスとして提供されており、利用者の質を担保しています。このように、利用者に制限をかけるといった方法も、トラブルを未然に防ぐ仕組みづくりのひとつと言えるでしょう。

金銭トラブルを未然に防ぐ決済サービスがカギに

民泊に限らず、どのようなシェアリングエコノミービジネスであっても前述したような「トラブルを未然に防ぐ」ための仕組みが欠かせません。その仕組みを構築するために必要なものはサービスモデルによって変わってきますが、どのサービスも基本的に「金銭のやり取り」が発生するという点では共通しています。

シェアリングエコノミービジネスでは、特に利用者間に金銭的なトラブルが起きると、プラットフォームを運営する事業者に批判が集中する傾向にあります。プラットフォームの信頼性が損なわれてしまうことで、事業が立ち行かなくなり、消えてしまったサービスも少なくありません。

そのため、利用者が安心できる決済システムの導入が、今後のシェアリングエコノミービジネスの鍵を握ると言えるでしょう。

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