フルスクラッチ開発とは?ゼロからシステムを構築することです!

「フルスクラッチ」とは、既存のものを利用せず、新たに開発を行うことです。

もともとは模型の世界で使われていた言葉で、プラモデルなどの組み立てキットではなく、模型を自作することをいいます。一部の部品を流用する場合は「スクラッチ」、まったく流用せずに模型全体を自作する場合に「フルスクラッチ」といいます。

ITの分野においては、既存のサービスやプログラムを土台とせず、ゼロからシステムを開発することをさします。
模型の場合と同様に、他のサービスやシステムを流用する場合は「ハーフスクラッチ」、まったく流用せずに完全にゼロから開発を行う場合は「フルスクラッチ」と呼ばれます。

スクラッチ開発とパッケージ開発との違いとは?

ゼロからオリジナルのシステムを開発する「フルスクラッチ開発」や既存のシステムに必要な機能を追加していく「ハーフスクラッチ」に対し、既存のシステムをそのまま利用して開発することを「パッケージ開発」といいます(ハーフスクラッチとパッケージ開発を同じ意味として捉える場合もあります)。

フルスクラッチ開発やハーフスクラッチ開発は、ユーザーの希望に沿ったシステム構築を実現できますが、その分コストと時間がかかります。これに対し、パッケージ開発はシステムのコストと時間を抑えることが可能です。

基本的にシステム開発の流れは、基本的に以下のようになります。
要件定義 →設計 → 開発 → 検証 → テスト → 保守

フルスクラッチ開発では「土台」となるプログラムやシステムがないため、システムに求める機能や要件などを定める「要件定義」の段階で、ユーザーの希望を聞き出して理想の形を明確にしなければなりません。
それゆえ、パッケージ開発・ハーフスクラッチ開発に比べてフルスクラッチ開発は時間とコストがかかるのです。

ハーフスクラッチ開発は、既にあるパッケージソフトウェア等に、機能を追加していく構築方法のためユーザのニーズを捉えつつ、時間をかけずに開発することが可能です。

フルスクラッチ開発のメリット・デメリット

フルスクラッチ開発のメリット・デメリットをみていきましょう。

フルスクラッチ開発のメリット

フルスクラッチ開発のメリットとして、ユーザーにとって独自のシステムを開発できること、修正や変更に柔軟に対応できることがあげられます。

パッケージ開発でもユーザーのニーズに対応することはある程度可能ですが、どうしても限界が生じてしまいます。
その点、フルスクラッチ開発であれば、ユーザーのニーズに完全に合致した開発を行えます。

ユーザーにとっては、自分たちがほしいと思う機能を実装することができるので、これまで他のシステムを使っていて不便に感じていた部分を解消できるメリットがあります。

また、システムは開発後も保守を行う必要があります。
フルスクラッチ開発では、エラーやバグが発生した時の修正や、追加の要望、あらたな機能の追加などにも素早く対応ができます。

フルスクラッチ開発のデメリット

フルスクラッチ開発のデメリットは、多くの時間とコストがかかってしまうこと、高い技術力が必要となることがあげられます。

すべてをゼロから開発するフルスクラッチ開発では、その完成まで長い時間を要します。その分、開発に関するコストも大きくなってしまいます。

また、フルスクラッチ開発には高い技術力が必要となり、対応できる人材も限られてきます。

システムの開発・保守のためのチームが必要になるなど、ユーザー側の負担も大きくなる傾向があります。

ハーフスクラッチ開発のメリット・デメリット

続いては、ハーフスクラッチ開発のメリット・デメリットをみていきましょう。

ハーフスクラッチ開発のメリット

ハーフスクラッチ開発は、フルスクラッチ開発よりも開発費用を抑えることができます。

既に存在しているパッケージにカスタマイズをすることでシステム構築をしていく方法のため、まっさらな状態から作るフルスクラッチ開発よりもコストを安く開発することが可能です。

またパッケージ開発と比較すると、柔軟な開発ができることも魅力の一つです。ユーザのニーズに応じた機能の追加を検討することで、より良いシステムの構築が可能となります。

ハーフスクラッチ開発のデメリット

ハーフスクラッチ開発のデメリットは必ずしも自分の望む機能を追加できないことがある点です。カスタマイズ可能であるとはいえ、必要な機能全てを実装できるとは限りません。そのため、ユーザの望む機能が実現できない状況が発生する場合があります。

また、カスタマイズしすぎてしまうと、コスト・時間が余計にかかってしまうことが想定されます。システムをユーザに合わせてカスタマイズした結果、追加機能を増やしすぎてしまうと、カスタマイズのためのコストや時間を余計に要してしまいます。ただし、あらかじめ出来上がったシステムを利用してカスタマイズするため、フルスクラッチよりは早く・低コストで導入できます。

パッケージ開発のメリット・デメリット

最後に、パッケージ開発のメリット・デメリットをみていきましょう。

パッケージ開発のメリット

パッケージ開発のメリットは上述している2つの開発方式に比べると、最も初期コスト・開発期間を抑えることができます。そのため、開発に費用・時間を費やすことができない場合にはパッケージ開発が有効となります。

パッケージ開発のデメリット

パッケージ開発のデメリットは、ユーザの業務をシステムに合わせる必要がある点があります。そのため、ユーザーにとって、使いやすいシステムとはいえない場合があり、ユーザがそのシステムを使いこなせるようになるまで時間がかかってしまいます。また、運用時のライセンス料等によるランニングコストがかかってしまう場合も多いです。

まとめ

  ユーザニーズへの合致 必要なコスト 導入期間の長さ
フルスクラッチ開発 × ×
ハーフスクラッチ開発
パッケージ開発 × ◎(最も安価) ◎(最も短い)

フルスクラッチ開発の進め方やコツをチェック!

ゼロからすべてを開発するので大変な部分も多いフルスクラッチ開発。ここからはその進め方について、さらに詳しくみていきましょう。

要件定義

「要件定義」では、ユーザーからどのようなシステムがほしいのかを聞き出し、システムの方向性を決めていきます。

要件定義の際に、ユーザー側の希望があいまいで、開発側に希望が正しく伝わらないと、システムの開発中や完成後に修正や変更が必要となる可能性が高くなります。

仮に、大幅に作り直すとなると、多大な追加費用がかかることも考えられます。

このような事態を避けるため、ユーザー側は自社が抱える課題を明確にしたうえで、開発側と打ち合わせを行うことが重要となります。

設計

システムの方向性が決まれば、開発言語をどうするか、具体的な仕様をどうするかなどを決めていきます。ある程度の設計が終わったら、プログラムの構造や処理の詳細設計に移行します。
要望の変更や修正は、この段階までにできるだけ終えておきたいところです。

開発

設計が完了したら、プログラムの開発に移ります。
開発が始まると、問題が発生するたびに進捗に遅れが生じがちとなるので、進捗管理の重要度が増します。進捗管理をしっかりと行える体制を構築しましょう。

検証・テスト

開発が進むと、機能ごとにテストを行います。
単体のテストが完了すれば結合してテストを行い、連携がうまくいくか、システムが正常に動作するか確認します。
テストと修正が終わったら、実際に業務で使えるか運用テストを行います。

この段階が本番の稼動前の最終確認となります。重要な局面となりますので、ユーザーも交えてとなることも多いでしょう。

保守

システムは開発して終わりではなく、運用が始まってからの保守対応も重要です。
状況によってはあらたな機能が必要となることもあります。保守や機能の追加がしやすいのも、フルスクラッチ機能の魅力のひとつです。

フルスクラッチ開発やハーフスクラッチ開発は古い?それでも選ばれる理由や導入時に検討すべきポイントを解説!

一般的に、設計や開発がしやすく、コストや期間を抑えられるパッケージ開発に対し、スクラッチ開発は導入に手間がかかり、費用が高くなる傾向があります。また、ハーフスクラッチは双方のメリットやデメリットをくみとった開発手法が可能となります。

そのため、ユーザのニーズを実現したいが、開発コストを抑えたい場合には、パッケージベースで開発を行うハーフスクラッチ開発がおすすめです。ハーフスクラッチ開発はどのような場合に向いているのでしょうか。検討すべきポイントをまとめてみました。

どのようなシステムが必要か検討する場合

今後、構築・導入しようとするシステムが、どの程度独自性が必要なものかしっかりと検討しましょう。
意外と既存のシステムで充分だったということも多いものです。まずは既存のシステムのリサーチを行うのがよいでしょう。

必要とするシステムはパッケージとして存在しているが、一部の必要な機能が存在していない場合は、ハーフスクラッチ開発が最も有効となります。

予算や導入期間はどの程度が想定されるか

必要とするシステムの導入スケジュールにゆとりがない場合は、フルスクラッチ開発は不向きです。
また、どうしても導入予算の都合でパッケージ開発を選ばざるを得ない場合もあるでしょうが、ユーザ視点で考えた場合にはハーフスクラッチ開発が有効となります。

業務に合った機能をもつシステムを導入したいが、なるべく導入費用を低コストに抑えたい場合は、パッケージ開発・フルスクラッチ開発よりもハーフスクラッチ開発のほうが向いています。
コストや開発期間だけでなく、自社の状況をしっかりと把握し、業務におけるパフォーマンスも考えて、検討するといいでしょう。

スクラッチ開発やハーフスクラッチ開発をするには

今回はスクラッチ開発に関してご紹介してきました。

株式会社Samuraiでは、開発の基盤となるパッケージをベースとした、ハーフスクラッチ開発を得意としております。

外部システムとの連携や独自の設計を行いたい場合に、スピードと開発コストを抑えたご提案が可能となります。もちろん、パッケージ開発やフルスクラッチ開発にも対応してますので、目的と予算に合わせた柔軟なご提案が可能ですので、お気軽にご相談ください。

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