アプリ開発にかかる全体の予算

スマートフォンの普及により、今やウェブサイトよりもアプリの利用が当たり前の時代になってきています。

アプリ開発の費用は100万円〜数千万円以上とかなり幅があり、実装したい機能や内容、エンジニアの人件費などによって大きく変わります。

アプリの開発会社はエンジニアの人件費に開発期間を乗算して開発の費用を算出します。エンジニアに1ヶ月間依頼したときの相場は、80〜120万円となっています。
そのほかにも、デザインを担当するデザイナー、開発の進行・マネジメントを担当するディレクターなどの人件費も発生します。当然ながら、開発が長期間にわたるほど費用は高くなります。

アプリ開発には、大きく分けて「スクラッチ開発」と「クラウド開発」があります。
「スクラッチ開発」は開発を一から行うことをいいます。スクラッチ開発を行う場合、メディア系のアプリであれば500万円以上、店舗系のアプリであれば1000万円以上、金融系のアプリであれば2,000万円以上、ECアプリであれば3,000万円以上が相場となります。

「クラウド開発」はすでに開発が完了している機能を組み合わせてアプリを作る方法です。スクラッチ開発のように求める機能を100%実装できるとは限りませんが、スクラッチ開発よりもコストを抑えられるメリットがあります。クラウド開発は350万円〜が相場となります。

対応するOSも「iOS」と「Android」のどちらかに絞るのか、両方に対応するのかによって費用に影響します。両方に対応する場合は、どちらか片方のみに対応する場合の単純に2倍のコストがかかります。

また、アプリの開発が終了して公開した後もメンテナンスをする必要があり、維持費がかかります。年間にかかるアプリの保守費用の相場は、開発コストの約20%とされています。

アプリ開発に活用できる補助金の種類

「補助金」とは国や地方公共団体が公共団体・企業・個人などに支給するお金のことです。誰でももらえるものではなく、申請や審査があり、一定の資格が必要となる場合もあります。

補助金には「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「小規模事業者持続化補助金」「事業再構築補助金」など、アプリ開発に利用できるものがあります。

ものづくり助成金

「ものづくり補助金」は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の略称で、中小企業庁が実施している補助金です。

ものづくり補助金には中小企業向けの「一般型」と「グローバル展開型」、支援者向けの「ビジネスモデル展開型」の3種類あります。一般型には「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」「グリーン枠」の4種類があり、それぞれ対象や補助金額に違いがあります。

対象者は中小企業者および特定非営利活動法人です。
申請には「事業計画書」が必要で、「事業全体の付加価値を年率3%以上増加」「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする」を満たす事業計画の策定と「賃金引き上げ計画の表明書」「決算書」なども必要となります。

補助率は、中小企業者であれば1/2、小規模企業者・小規模事業者であれば2/3です。補助金の上限額は、一般型が1,000万円、グローバル展開型は3,000万円、ビジネスモデル構築型は1億円となります。

IT導入補助金

最大450万円を補助金として受け取ることができます。申請や手続きは「IT導入支援事業者」がサポートしてくれるので安心です。

対象者は生産性向上のためにITツールを導入する、日本国内で事業を行う中小企業または個人となります。

「ものづくり補助金」と同様、「事業全体の付加価値を年率3%以上増加」「給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする」を満たした事業計画を提出する必要があります。

小規模事業者持続化補助金

最大50万円を補助金として受け取ることができます。
他の補助金に比べ、採用率が高い補助金です。

小規模事業者、個人事業者、一定の要件を満たした特定非営利活動法人が対象者です。一般社団法人、企業組合・協業組合を除く協同組合、医師などは対象にはなりません。個人事業者の場合は開業届の提出を行っていることが必要となりますので、注意してください。

事業再構築補助金

最大補助額が1億5,000万円と、補助額が一番大きい制度です。
コロナやウクライナ情勢などによる経済的変化の影響で売上が減少した中小・中堅企業を支援するための補助金で、日本国内に本社を有する中小企業等と中堅企業等のみが対象となります。

ものづくり補助金のメリットとデメリット

ものづくり補助金は新規事業立ち上げや事業拡大などに利用できる補助金です。

ものづくり補助金のメリット

ものづくり補助金には、次のようなメリットがあります。

返済不要の資金を調達できる

ものづくり補助金は返済の必要がないので、返済スケジュールや資金繰りに悩まずに済みます。ただし、所得として課税対象になるので、注意しましょう。

事業計画を形にできる

ものづくり補助金を受け取るには、事業計画を作成する必要があります。
これにより、事業計画や経営理念が明確になり、事業のブラッシュアップができます。

補助金採択企業というPR効果がある

ものづくり補助金に採択されることで、事業計画が国に認められた証となり、金融機関などで融資が受けやすくなります。また、補助金採択企業であることが営業活動のアピールポイントにもなるでしょう。

ものづくり補助金のデメリット

ものづくり補助金はメリットばかりではありません。デメリットについてもみていきましょう。

申請に時間がかかる

ものづくり補助金の申請には、事業計画書や様々な資料を用意する必要があります。採択を受けるためには不備のない資料を用意しなければならず、申請するだけでもかなりの時間と労力がかかります。

原則後払い

ものづくり補助金の受給は、事業実施後の後払いとなります。そのため、事業の実施中は経費を全額立て替え払いしなければなりません。

事業状況の報告を求められる

ものづくり補助金は、補助金を受給した後も、5年間にわたって事業状況報告書の提出を求められます。報告に不備があると補助金の返還を求められることもあります。

ものづくり補助金の申請方法と交付までの流れ

ものづくり補助金の申請は、インターネットを利用した電子申請となります。電子申請するためには「GビズIDプライムアカウント」の取得が必要です。GビズIDプライムアカウントを持っていない場合は、事前にGビズIDプライムアカウントの取得が必要となります。

申請時には事業計画書や直近2年間の決算書など、必要書類を電子ファイルで作成して提出します。

ものづくり補助金を受給するには、申請時に実施される審査を通過し、採択されなければなりません。申請が認められ、交付決定がおりると補助事業を開始できます。交付決定前の支出については補助対象外となりますので、対象経費の支払いは交付決定後に行ってください。

補助事業が完了したら、補助事業実績報告書や会計書類、証拠書類など、必要書類を提出します。これにより補助事業が計画通りに遂行されたか検査が行われます。
問題がなければ補助金額が確定し、補助金が振り込まれます。

それ以降も5年間、事業化状況報告を行う必要があります。

ものづくり補助金を利用してアプリ開発をした成功例

株式会社B社(東京都渋谷区)は、情報サービス業を営む企業です。
B社では、GPS位置情報とAR(拡張現実)を活用した、建設工事検収用写真デジタル化システムを開発するのにものづくり補助金を利用しました。

このアプリには、GPS位置情報から割り出された工事情報が電子黒板に自動で入力される機能や、ARを使い仮想のメジャーをスマホ画面に表示できる機能を盛り込み、現場でのミスを減らして作業時間短縮を実現することに成功しています。

ものづくり補助金・アプリ開発に関する相談先はこちら

ここまで、アプリ開発にも利用可能なものづくり補助金についてみてきました。
東京都千代田区の株式会社Samuraiは補助金を利用したシステム開発支援に様々なノウハウを持っています。アプリ開発にものづくり補助金を利用する際の相談先として、ぜひ検討してみてください。

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