企業の収益やロイヤルティにつながる顧客満足度(CS)を向上させるためには、満足度の高いサービスの提供が必要です。しかし、「満足度の高いサービス」とは一体どのようなことを指すのでしょうか。マーケティングや接客担当者、経営者として色々な取り組みはしているものの、集客や利益が伸び悩んでいるのであれば顧客満足度に対する認識が消費者とずれている可能性があります。今一度、CSの定義を見直し、CS向上の事例も参考にしてみましょう。

CSとは期待値を超えること

顧客満足度の定義

CSの定義は、「顧客の事前の期待値を実際のサービス水準や、製品で超えた場合の差分のこと」です。
例えば、顧客の事前期待値が100であるとして、サービスの利用後が90であるとすれば、CSとしては10ポイントの差分があり、CS向上に繋がっているとは言えませんし、逆に10ポイントが不満であるということです。

細かく言うと、期待値はお店へのブランドイメージや価格帯によって水準が左右されます。例えば、事前期待値が低めな「100円商品」に対して金額以上の価値があった場合、CSの評価は高くなるでしょう。反対に、高級ホテルやレストランであれば事前期待値は高く、接客マナーや料理の味、雰囲気、清潔感など期待する領域は広く、事前期待が高いほど少しのミスや不安を与えた場合CSは大きく低下するでしょう。
業界やお店、サービスが元々持つ水準をわかっていることが必要です。

期待値を超える=リピーターにつながる

顧客が求めているサービスを100用意できたとして、期待値が100かそれを超えない場合には、サービスに対する推奨者やリピーターとはならず、収益が伸び悩むでしょう。顧客の思うサービスが事前の期待値と同等のもの、下回る場合には、結果としてCSの低下につながりやすくなります。

CSを向上させるポイント

基本的な期待を把握

CSを向上させるためには何が必要でしょうか。それは、顧客の気持ちを把握していることです。
顧客の気持ちということは、顧客の期待ということですが、まずは顧客の期待として考えられる、当然のレベルを超えなければなりません。
商品が不良品でないことや価格帯が顧客の期待とマッチしていること。情報通りの商品であることや、商品を注文すれば遅滞なく届くなど、求められても当然のラインを把握することから始まります。

サポートサービスの充実

サポートサービスの充実も顧客満足向上に必要な要素です。サービス利用後や商品購入後の対応でもCSが左右されます。
顧客からの問い合わせが多い内容は、企業のWebサイト内に「よくある質問コーナー」といったページを用意。素早く自己解決ができるような手段を提供することやアフターサポート、アンケート調査など、商品購入後も顧客と繋がりが持てるような環境を維持することでCSの向上につながります。

「特別感」を与える

顧客ごとの特徴や特性の詳細を把握し、顧客に対して特別感を与えることもひとつです。常連客の顔を覚えて、あえて名前で呼ぶ。家族構成や利用背景を細かく把握したうえでのおもてなしや提案をするなど、対人ならではのサービスを行うことが挙げられます。

CS向上の事例

CSの大小は企業の業種やサービスの内容によって様々ですが、その事例について紹介します。

セイコーマート

北海道中心に展開をしている「セイコーマート」は、出店エリアが限定されているにもかかわらず、顧客満足度第一位(「顧客満足度調査」2016年度 サービス産業生産性協議会調べ)のコンビニです。地域の声や、ライフスタイルに合わせた販売形態を行っております。その場で作ってくれる「ホットシェフ」というサービスに加え、価格が安くても美味しい商品には定評がありCSが高いとされています。

出典:http://www.seicomart.co.jp/

スターバックスコーヒー

アメリカシアトルで生まれた「スターバックス」は、従業員の「気づき」から、マニュアルにはない柔軟な接客を自発的にすることによりCSを向上させています。自社サービスの方向性やコンセプト、ビジョンの共有。現場への権限移譲などを行い、利用客にとってプラスになる接客を考え実行できるトレーニングと組織体制が成功につながったと思われます。

出典:http://www.starbucks.co.jp/

ザ・リッツ・カールトンホテル

高級ホテルの中でもトップクラスの「ザ・リッツ・カールトンホテル」では、従業員一人ひとりに1日20万円までの決裁権の権限委譲を行い、従業員が臨機応変に顧客に対してサービスを行える環境と体制を作っています。訪れる顧客だけでなく、従業員同士でもお互いをもてなす=「従業員第一主義」ことを実施。従業員の接客に対する精神や完成を醸成する取り組みで、結果としてホスピタリティの高いサービスでCSを向上させています。

出典:http://www.ritzcarlton.com/jp

みずほ銀行

みずほ銀行においては、顧客が課題を解決できない場合が多いという事例をもとに、電話やメール、FAQなどのサポート対応を徹底的に整備しています。迅速な問題解決や情報提供になるよう、専門的なコンサルティングやコールセンターの充実、CS調査の実施などサポートの品質を向上。ロイヤルティを増やすための体制が組まれています。

出典:https://www.mizuho-fg.co.jp/csr/customer/cs.html

期待値超える「感動」を提供しよう

CSを向上させるということは、顧客が抱く事前の期待値よりも高いサービスを提供することですが、企業の商材やサービスの価格帯によって顧客やその期待値も変わってきます。マーケティング方法にも影響のある領域なので、サービスサイエンスとして取り組むのも良いでしょう。
事前に持たれるだろう期待値を理解したうえでサービスを改善し、推奨者やリピーターを獲得してください。