事業再構築補助金とものづくり補助金の概要

設備投資におすすめの補助金としてあげられるのが「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」です。まずはそれぞれの特徴からみていきましょう。

事業再構築補助金

「事業再構築補助金」は、新型コロナウイルスの影響などによって苦境に立たされている中小企業の事業再構築を支援するために立ち上げられた制度です。「新分野展開」「業態転換」「事業転換」「業種転換」「組織再編」といった中小企業の新たな挑戦を支援する国の事業です。

補助対象経費は建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費など。採択率は約40〜50%ほどです。

通常枠の補助率は2/3、補助額は最大で8,000万円、特別枠は補助率が3/4、補助額は最大で1.5億円と、これまでで最大規模の補助金となっています。

ものづくり補助金

正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」で、中小企業等による革新的なサービスの開発、試作品開発、生産プロセス改善のための設備投資支援といった、生産性向上のための設備投資などにかかる費用を支援する制度です。

「ものづくり補助金」という名称ですが、生産性向上のための取り組みであれば、製造業以外でもさまざまな業種で活用することができます。

補助対象経費は機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費など。補助率は1/2ですが、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者であれば2/3となります。補助上限金額は最大で1,250万円です。
採択率は約40〜60%ほどになります。

補助対象者が幅広く、補助経費の範囲の広さ、他の補助金と比べて採択率が高いことが魅力的な補助金です。

二つの補助金の違いとは?

「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」には次のような違いがあります。

事業目的の違い

「ものづくり補助金」は既存事業の生産性向上も対象となりますが、「事業再構築補助金」は生産性向上だけでは対象になりません。
つまり「ものづくり補助金」は既存の事業を伸ばしたい場合、「事業再構築補助金」はあらたな事業に挑戦するような場合に対する補助金といえます。

補助金額の違い

予算規模に関しては「事業再構築補助金」のほうがはるかに大きく、設備投資額が大きい企業向けだといえます。

事業再構築補助金

補助金額は、対象となる類型によってさまざまです。
もっともスタンダードな類型である「通常枠」は、従業員規模によって最大2,000~8,000万円までの補助が受けられます。
採択率が高い特別枠である「回復・再生応援枠、最低賃金枠」の場合、採択率は高い反面、補助金額は少なくなり、補助額は最大500〜1,500万円となります。
「グリーン成長枠」は補助金額が大きい特別枠で、最大で1.5億円の補助が受けられます。

ものづくり補助金

「ものづくり補助金」は「事業再構築補助金」とくらべると補助金額が少額です。
「通常枠」「回復型賃上げ・雇用拡大枠」「デジタル枠」は従業員規模によって最大750~1,250万円、「グリーン枠」は最大1,000〜2,000万円の補助が受けられます。

補助対象経費の違い

「ものづくり補助金」の補助対象経費には、次のものがあげられます。

  • 機械装置
  • システム構築費、技術導入費
  • 専門家経費
  • 運搬費
  • クラウドサービス利用費
  • 原材料費
  • 外注費
  • 知的財産権等関連経費

「事業再構築補助金」の補助対象経費には、上記にくわえ、

  • 建物費
  • 広告宣伝
  • 販売促進費
  • 研修費

が対象となります。

申請要件の違い

申請要件は「事業再構築補助金」の方が「ものづくり補助金」より厳しい要件となります。

「ものづくり補助金」の要件

  • 付加価値額が一定以上こえていること
  • 補助対象事業に該当すること

「事業再構築補助金」の要件

  • 売上が減少していること
  • 事業再構築に取り組んでいること
  • 認定支援機関と事業計画書を策定すること
  • 付加価値額が一定以上向上していること

対象者の違い

「ものづくり補助金」の対象者は個人事業主を含めた中小企業に限定されますが、「事業再構築補助金」は中小企業から中堅企業までを対象となります。

事業再構築補助金とものづくり補助金は併用できるのか?

「事業再構築補助金」も「ものづくり補助金」もどちらも使いやすくて人気の補助金ですが、併用することが可能です。

「事業再構築補助金」のWebサイトでは「よくある質問」として「ものづくり補助金など他の補助金と併用は可能か」という問いに対し「内容が異なる別の事業であれば、同じ事業者が異なる補助金を受けることは可能です」と回答しています。

「事業再構築補助金」だけでも十分に大きな補助になりますが、「ものづくり補助金」と併用することで、より大きなメリットを受けることができるでしょう。
ただし、同一事業では利用できません。併用する場合は別の事業で利用しなければならないので注意しましょう。

また、同一事業での併用はできませんが、同一事業に対して複数の補助金に申請すること自体は可能です。補助金は事務局の審査を受けて採択・不採択が決まるため、申請すれば必ず採択されるとは限りません。仮に複数の補助金の採択を得た場合は、他の補助金を辞退すればよいでしょう。

あくまでも同一事業で複数の補助金を受給することは禁止されているので、くれぐれも注意してください。

事業が一つしかない場合はどうしても併用は不可能か?

「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」を併用したい場合、同一事業ではできず、別の事業で利用しなければなりません。
では、事業が一つしかない場合はどうすればよいでしょう。

この場合、

  • 現在の事業をどちらかの補助金を使って安定させる
  • 新たな事業を構築しもう一つの補助金を申請する

といった方法は可能です。

例えば、飲食店であれば本業のラーメン店を「事業再構築補助金」を利用して経営を安定させ、あらたに餃子やシュウマイなどの冷凍食品の販売を「ものづくり補助金」で行うといったケースです。

このように、事業を分けることにより、2つの補助金を併用できる可能性があります。アイデアがある場合は、1度専門のプロに相談してみるとよいでしょう。

新たな事業を展開し二つの補助金を併用した成功例

「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」を併用して成功した事例をご紹介しましょう。

あるIT企業では「事業再構築補助金」を活用して独自のオープンソース開発プロジェクトを開始しました。その際に「ものづくり補助金」を併用し、開発に必要なハードウェアやソフトウェアの導入費用をカバーしました。その結果、開発力が大幅に向上し、新たなビジネスの展開につながりました。

また、ある食品メーカーでは、EC事業の立ち上げに係る設備・商品開発・販促費を「事業再構築補助金」で、ECで使用する設備や商品開発にかかる費用を「ものづくり補助金」で対応した事例もあります。

以上の事例もそうですが、その事業が同一事業となるのかどうかは判断が難しい部分があります。
どのような場合に併用ができるのか、やはり専門のプロに相談するのがおすすめです。

事業再構築補助金とものづくり補助金の併用について相談したい方はこちら

ここまで「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」の併用について説明してきました。
もし両方とも申し込める状況であればメリットはかなり大きくなります。ぜひチャレンジしてみてください。

「事業再構築補助金」と「ものづくり補助金」の併用について相談されたいという方は、本記事を執筆しているSamurai社にご相談ください。

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「ものづくり補助金」の申請を検討されている方は、ぜひ一度ご連絡ください。

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