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データベース開発や構築とは?
「データベース」とは、ある法則に基づいて集められたデータを、追加、削除、更新、検索がしやすいように整理したものをいいます。
住所録や辞書、スケジュール帳など紙媒体のものも一種のデータベースだといえますが、通常はコンピュータ上で利用するものを指します。
データベースには「階層型データベース」「ネットワーク型データベース」「リレーショナルデータベース(RDB)」「NoSQL」といった種類があります。簡単なものであれば「Excel」などの表計算ソフトで作れます。一方で多くの情報を扱い、複雑な操作を行う場合は「SQL」というデータベース言語を使用し、データベース管理システムである「DBMS」が必要となります。
このようなソフトやシステムを使い、データベースを導入して作業の効率化を図ることを「データベース開発」といいます。もしも今、紙の資料で管理しているデータがあるなら、データベース化することでデータを効率よく活用できるようになるでしょう。
階層型データベースとは
階層型データベースとは、データを階層的に組織化するデータモデルを採用したデータベースのことです。
このモデルでは、親子関係を持つデータが階層的に構造化され、木構造を形成します。データはルート(根)から始まり、子ノードや孫ノード、曾孫ノードといったように階層的に分類され、それぞれのノードは1つの親ノードを持ちます。例えば、商品カテゴリーを表す場合、ルートは「商品」であり、その下に「衣服」、「家電」、「食品」などの子カテゴリーがあり、更にそれぞれの子カテゴリーには更に細かい孫カテゴリーがある、というように構造化されます。
階層型データベースは、ハードウェアやソフトウェアの性能向上により、検索や更新が高速に行えるようになっています。しかし、データの階層が深くなると、階層が増えるためにパフォーマンスが低下する可能性があるため、適切な階層構造を設計することが重要です。また、階層型データベースは、構造化されたデータに最適であり、非構造化データには向いていないという欠点もあります。
階層型データベースは古典的なデータモデルになります。
ネットワーク型データベースとは
同じく古典的なデータモデルとして、ネットワーク型データベースがあります。ネットワーク型データベースは、複数の親を持つことができるデータモデルを採用したデータベースのことです。
このモデルでは、データはグラフのようなネットワーク構造を持ち、データの検索や更新は複数の経路を通ることができます。例えば、社員とプロジェクトの関係を表す場合、社員がプロジェクトに所属するだけでなく、社員がプロジェクトのリーダーである場合や、複数のプロジェクトに所属する場合があります。そのため、社員データとプロジェクトデータが複数の経路で接続されたネットワーク構造を持ちます。
ネットワーク型データベースは、階層型データベースよりも複雑な関係を表現でき、柔軟なデータ検索や更新が可能です。しかし、データの整合性を保つために、適切な参照整合性制約の設計が必要になります。また、データ検索に複数の経路があるため、パフォーマンスに影響が出る場合があります。
現代のデータベース管理システムでは、ここまでに説明した階層型やネットワーク型といった古典的なデータモデルを選択することは少ないです。
リレーショナルデータベースとは
リレーショナルデータベースは、現代のデータベース管理システムの主流となっており、多くの企業や組織で広く使用されています。
リレーショナルデータベースは、表形式でデータを格納し、複数の表を関連付けることでデータを結合・管理するデータモデルです。
このモデルでは、データを表形式で扱います。各表はレコード(行)とカラム(列)から構成されており、レコードは1つのエンティティ(事物)を表し、カラムはそのエンティティの属性(情報)を表します。例えば、顧客情報を管理する場合、顧客情報に関する表には「顧客名」「住所」「電話番号」などのカラムがあり、各顧客についての情報がレコードとして表されます。
複数の表は、キーと呼ばれる共通の要素を用いて関連付けることができます。これにより、複数の表を結合して複雑なクエリを実行することができます。例えば、注文情報と製品情報を管理する場合、注文情報の表と製品情報の表を製品IDで結合し、どの製品がどの注文に含まれるかを特定することができます。
リレーショナルデータベースは、柔軟なデータ検索や更新が可能であり、整合性制約によりデータの信頼性を高めることができます。また、データの冗長性を排除することができるため、データの一貫性を維持しやすく、データのスケーラビリティにも優れています。
NoSQLとは
NoSQLは、「Not only SQL(SQLに限らない)」という言葉から生まれた、リレーショナルデータベースに代わる非関係型データベースの総称です。リレーショナルデータベースのように表形式でデータを格納するのではなく、様々なデータ構造でデータを管理することができます。
NoSQLは、主に以下のような特徴を持っています。
1.柔軟なデータモデル:リレーショナルデータベースとは異なり、データの構造が固定されていないため、変更に強く柔軟なデータモデルを持ちます。
2.スケーラビリティ:大量のデータを扱う場合でも、リレーショナルデータベースよりも柔軟かつスケーラブルに拡張することができます。
3.パフォーマンス:NoSQLは、リレーショナルデータベースよりも高速なデータアクセスを提供することができます。
4.高可用性:NoSQLは、分散データベースであることが多く、データベースのノードが障害を起こしてもシステム全体が停止することがなく、高可用性を実現できます。
5.オープンソース:多くのNoSQLデータベースがオープンソースで提供されており、無料で利用できることが多いです。
また、NoSQLには、以下のような種類があります。
1.キーバリュー型データベース:データをキーと値のペアとして格納するデータベース。RedisやRiakなどが代表的です。
2.ドキュメント型データベース:JSONなどのドキュメント形式でデータを格納するデータベース。MongoDBやCouchbaseなどが代表的です。
3.カラムファミリー型データベース:大量のデータを効率的に格納できるデータベース。HBaseやCassandraなどが代表的です。
4.グラフ型データベース:データの関係性をグラフで表現し、関係性を効率的に検索することができるデータベース。Neo4jやArangoDBなどが代表的です。
NoSQLは、Webアプリケーションやビッグデータなど、データの取扱いが複雑な場合に適しています。例えば、SNSやオンラインゲームなどのように、大量のユーザーが同時にアクセスする場合や、センサーデータやログデータなどのように、様々な形式のデータを大量に収集する場合に適しています。
また、NoSQLはリレーショナルデータベースに比べて柔軟性が高く、スケーラビリティが高いため、アジャイルな開発プロセスやDevOpsなどの取り組みにも適しています。
ただし、NoSQLはリレーショナルデータベースと比較して、トランザクション処理が弱い、データの整合性管理が難しい、クエリの自由度が低いなどの欠点もあります。そのため、データの取り扱いに合わせて、適切なデータベースを選択する必要があります。
データベース開発や構築をするメリット・デメリット
データベースを導入することによるメリット、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
まずはメリットからみていきましょう。
データの管理がしやすくなる
データベース開発を行うことで、さまざまな情報を一括で管理しやすくなります。
どこに情報が保管されているのか把握し素早く検索できるほか、データを並べ替えたり、必要なデータだけ抽出したりとデータを活用する作業が容易にできるようになります。
また、データベースに接続できれば誰でも自由にデータを閲覧できますし、逆にアクセス制限をかけることもできます。
データのバックアップも容易にでき、データが壊れたときの復旧も行いやすくなります。
データの大量保管ができる
表計算ソフトでも簡単なデータベースとしての活用できますが、大量のデータを保管するのには向いていません。データベース開発を行うことで大量のデータ保管が可能となり、効率を落とさずデータを運用することができます。
データの検索・分析・活用が容易
データベース開発することで、必要なデータを素早く検索することができます。SQLを使えば、データを組み合わせた抽出を行い、分析、活用することも容易となります。
データベースを導入することで発生するデメリットもみてみましょう。
コストがかかる
導入時にはシステムの構築やソフトウェアのライセンス費用、運用担当者を置く場合は人的コストなど、データベースを導入するにはコストが発生します。
運用する形態をオンプレミス型にするかクラウド型にするかによって、発生するコストも変化します。
システム担当者の負担が増す
データベースを導入することで、システムを管理する担当者が必要となります。社内にデータベースの知識を持つ担当者がいない場合は、内部で育成したり、外部に委託するといった対応が必要でしょう。
セキュリティ対策が必要
データベースを導入して大量のデータを集めることで、外部からの不正アクセスや内部からの不正アクセス、システム障害などに対し、セキュリティ対策を向上させる必要があります。
データベース開発をする4つの流れ
次に、データベース開発をする流れについて説明します。
データの調査
まずはじめに、対象となるデータの調査、分析を行います。
最初にデータベースを構築する目的を考えることで、必要な項目や機能が明確になります。
設計・開発
調査・分析した内容をもとに、データベースの構造を設計し、データベースを構築します。構築したデータベースに初期データを登録していきます。
テスト
実際に運用し、仕様通りに動作するか、テストを繰り返します。テストの結果をふまえて修正し、実務で使用できるシステムへと調整します。
運用・保守
実務での運用が始まった後も、日々の保守と保全が必要となります。
また、安全に利用するため、バックアップの体制も整えましょう。
代表的な3つのデータベース管理システム
DBMS(データベース管理システム)には多くの種類があります。
ここでは代表的なDBMSをご紹介します。
Oracle Database(OracleDB)
Oracle社が提供する「Oracle Database(OracleDB)」は、世界初の商用データベースで、リレーショナルデータベースに該当します。
幅広いプラットフォームに対応した世界最大規模のDBMSで、大量のデータを扱えるので大規模なデータベースに向いています。
MySQL
「MySQL」はオープンソースのデータベースで、世界トップシェアを誇りリレーショナルデータベースに該当します。オープンソースなので、無料で利用できます。「ストレージエンジン」という独自のエンジンを採用し、処理速度が速く、拡張性の高さや柔軟に利用できるという特徴があります。
SQLServer
Microsoft社が提供するDBMSで、Windowsに向いています。上記2つと同じく、SQLServerもリレーショナルデータベースに該当します。
GUI(ユーザーが視覚的な画面でコンピュータに指示を出すシステム)が利用でき、直感的に操作ができるDBMSです。
MongoDB
MongoDBは、ドキュメント指向データベースであり、NoSQLに該当します。
JSON形式のドキュメントを保存・取得することができ、スケーラビリティが高く、分散処理を行うことで大量のデータを処理することが可能です。また、柔軟なスキーマ設計が可能で、開発プロセスがアジャイルになります。
データベース開発や構築は外注するべき?
デメリットの欄でも簡単に述べましたが、データベースの構築を内部で行なう場合、コストカットができるというメリットがある一方で、専門的な知識やスキルを持つ人材を準備する必要があります。
ゼロから構築することはスキル的に困難で、時間もかかるでしょう。
そのような場合、無理に内部で構築しようとするより、システム開発会社への外注を検討することをおすすめします。それなりにコストがかかるデメリットはありますが、システムの質や構築するスピードを考えると、メリットも大きいでしょう。
データベース開発や構築を行う外注先の選び方
では、外注先はどのように選べばよいのでしょう。
実績を調べましょう
外注先がこれまでにどのような導入実績があるのかを調べましょう。これにより、その会社がどのような分野、技術を得意としているのか把握できます。
自社の持つ課題と相手の得意分野を比較・検討することで、外注先を決めやすくなります。
専門のエンジニアがいる企業がおすすめ
データベースの構築を外注する際は、データベースエンジニアがいる企業を選ぶのがおすすめです。
専門のスキルを持っているので、自社の要望をかなえやすくなるでしょう。
サポート体制を確認しましょう
サポート体制についても、確認しておきましょう。データベースは構築すれば完了ではなく、運用開始後の保守が非常に重要となります。障害が発生したときにどこまで対応してくれるのか、明確にしておけば安心です。
データベース開発や構築ならSamuraiにお任せください
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データベース開発に関してもオンプレミス型、クラウド型どちらでもデータベースの開発が可能で、豊富な実績があります。データベースのクラウド化や導入をしたい場合に検討をおすすめします。
長年にわたって大規模なデータベースの開発や保守・運用を行なっていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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