現代は消費の低迷もあり、独自のコンセプトがあるブランドものよりも、客単価の低いファストファッションが好まれています。また、インターネットの普及により、消費者へ向けたo2oマーケティングの重要性も見過ごすことはできません。ここでは、アパレル商品の販売戦略をオンラインで考えている方のために、押さえておきたいo2oマーケティング、事例などを解説していきます。

アパレル業界の”いま“

日本経済全体の消費低迷は、アパレル業界にも影響しています。一時期売上が伸びず、業界そのものの凋落も指摘されていました。

また、ある程度の品質、トレンドを押さえている低価格なファッションへの消費傾向になっていること。web上での購入で実店舗の売上げが伸び悩むなど、対応していかねばならない課題が多くあります。

実店舗のオフラインでの一時的なセールや販促では、やはり限界があるといえます。方法次第では、インターネットを活用することで、売上を伸ばしたアパレル企業もあります。ネット社会でもある今日においては、ECサイト利用者やショールーミーの層などをどれだけ取り込めるかが、売上アップにつながるのでしょう。

売り上げアップのポイントは「リアル×ネット」

現代で売り上げアップを狙うキーワードは、「リアル×ネット」と言えるでしょう。それには2つの方法があります。

1つ目は実店舗とECサイトの連携です。実店舗とECサイトに相互の関係を作り上げることで一元化し、集客強化を図る方法です。これはo2oと言われるもので、「Offline to Online」の略称のように使われています。実店舗で抱える顧客をネットへ、ECサイトで抱える顧客を実店舗へ誘導できるようなサービスや仕組みを考える必要があります。

2つ目がWeb接客です。店舗ブログの公開やSNSで店舗アカウントを登録することで、多くの人々に接客を伴った告知等を行うことです。これにより、クーポン券やポイントの配布、プッシュ通知による新着情報のお知らせなどができます。また、ファンを増やすことでロイヤリティを高め、商品画像などをそろえることでUX(User Experience:ユーザー体験)効果を図ることもできます。要するに、Webに見合ったさまざまな接客をし、リピーターの確保と店舗情報を忘れさせないようにすることが、大きな目的でもあるでしょう。

o2oを使ったマーケティング事例

サイトと実店舗の連携で大きな効果を見込めるのがo2oであり、現在注目を集めています。成功したケースもあるため、ここでは代表的な3つの事例をお知らせします。

カエルパルコ

カエルパルコ

まず、カエルパルコと「WEAR」アプリの展開です。ネット上でパルコ内にあるブランドショップの服を取り置きすることができ、後日店舗へ行って取り置きしておいた服を確認し、そのまま購入できるのです。

また、web接客として、ファッションコーディネートアプリの「WEAR」と連携し、パルコのショップスタッフのコーディネート情報を載せることで、よりパルコでのショッピングを身近に感じられるようUXを意識した対策が行われています。アプリや店舗ブログなどの積極的なweb接客により、実店舗などへ赴き、購入する人も増えています。

夢展望

夢展望

夢展望の事例です。元々はECサイトのみの展開をしていたファッションブランドでしたが、実店舗を出店することでショールーミングができるようにしました。気に入ったデザインとサイズのものがあれば店舗で購入でき、サイズがなければ従来通りECサイトで購入することもできます。従来であれば、ネットと実店舗の在庫は分けられていましたが、夢展望では在庫を共有しており、ECサイトと実店舗が連携することで、在庫管理コストを削減できました。

青山デジタル・ラボ

最後に洋服の青山のデジタル・ラボ。主に売り場面積の少ない店舗で展開されています。店舗に行って採寸、試着をし、希望の素材やデザインの服があったがサイズや在庫がないという場合、デジタル・ラボを使えばオンライン上で希望の商品を注文できるという仕組みです。オンライン上での購入のため、購入後も荷物が増えることがない手軽さ、さらに在庫やサイズがなかったという理由での退店を防止できます。また再寸法などの面倒なこともなく、再び店舗を訪れる必要がありません。非常に効率的にショッピングができ、お客を逃がさないシステムでもあるでしょう。

以上、o2oの3つの事例を述べてきました。いずれも現代のデジタル社会にマッチし、有効な戦略を立てた結果、売上を伸ばした事例と言えるでしょう。

オフラインとオンラインの連携した接客がカギ

アパレル業界は、第三次産業でもあるため、景気などに大きな影響を受けます。しかし、衣服関連であるため、完全になくなるものではありません。そのため、有効な販売戦略を立てることで、消費低迷の中でも売上アップが狙えます。ファッションが流行と言われるように、アパレル企業こそ現代の潮流を有効活用すべきといえます。それにはオフラインとオンラインを連携した接客や施策が重要であり、o2oを積極的に取り入れていくことで、売上向上が見込めるかもしれません。