スーパーマーケットの販売戦略といえば折込チラシの配布でしたが、その効果に陰りが見えてきています。
さらに、ネット通販最大手の『Amazon』が食品の取り扱い開始や配達スピードアップなど新たなライバルも出現しています。
しかし、戦略に一捻り加えることで売上の拡大とリピーターの獲得を狙うスーパーがあります。
本記事では、スーパーマーケットに求められているものを深堀し、加えてテクノロジーを加えたマーケティングでリピーター獲得を成功させている事例を含めて紹介いたします。
スーパーに求められているもの
スーパーの販売戦略の定番といえば”チラシ”です。赤字覚悟の商品を大きく宣伝して来店を促し、ついで買いを誘うというのがメジャーなものでした。しかし、折込チラシはデザインや印刷、集配の手間など大きなコストが発生します。
”新聞購読率の減少によるチラシへの接触の減少””共働き家庭の増加による来店のコントロールの難易度増”など社会の変化に伴い、このメジャーな戦略は徐々に力が弱くなっています。
とはいえ安易に安売りを行うのは難しく、価格競争を起こせば周りの店舗もそれに追随し、地域の商品相場に影響を与えてしまいます。
現代のスーパーが生き残り顧客を獲得していくには、現状のチラシによる販促はもちろんのことO2Oを意識した新たなる取り組みが求められているのです。
では具体的にどのような戦略や取り組みが必要なのでしょうか?事例を見てみましょう。
スーパーのO2O戦略事例
実際にアプリやO2O戦略を導入している事例を数点紹介いたします。
いなげや:利便性拡大と情報発信を兼ねたO2Oアプリ
(出店:いなげや公式アプリ)
大手スーパーマーケット『いなげや』はリピーター獲得戦略の定番であるポイントカードをアプリ化しました。
ポイントの管理・蓄積を行う機能だけでなく、GPS機能を活用した近隣の店舗情報の確認、ブックマークした店舗のチラシの閲覧など情報発信のための機能も盛り込んでおりチラシに代わる新たなる顧客接点ポイントの増加として効果が期待されています。
松源(マツゲン):顧客に合わせたo2oマーケティング
(出典:松源(マツゲン)アプリ)
2015年、アプリを活用したO2Oマーケティングを試験的に導入しました。
・チラシ以上にお得な情報の発信
・利便性向上のための楽天ポイント/ネットストアの導入
さらにAiを活用したツールで来店状況や顧客データの分析などにも力を入れ、顧客が求める情報を顧客ごとに選定、提供ができるように改善を続けています。
イオン幕張:緒方店舗を生かしスマホ連携で新しい”体験”を提供
(出典:イオンお買い物アプリ)
チラシの情報やネットショッピングのための専用アプリに新機能を追加しました。アプリ内に追加された『撮って!インフォ』の機能を使い、内場の商品パッケージなどにかざすと、商品に関する情報を閲覧することが可能です。また、食品売り場で配布しているレシピにかざすことでレシピ情報をスマホに取り込んだり、アプリ内へ保存することも可能です。
併せてクーポンの提供なども行い、買い物自体のグレードを上げる施策を行っています。
鍵は施策の”分析”と”振り返り”
代表的な3つの事例を紹介しましたがスーパーのO2Oマーケティングは”振り返り”がポイントです。
折込チラシの場合、POSでのざっくりとした数値の変化を追いかけるだけで、明確な効果検証ができず膨大なコストの行き先は不明確でした。”どんな広告やイベントによってどんな反響があったのか?”アプリを活用すれば、顧客の行動履歴・特性を細かく収集及び分析することが可能です。
ローカルで展開しているスーパーの場合、上記で紹介した松源のようにネットストアなどの導入により全国をターゲットにした取り組みも有効でしょう。
顧客ニーズを把握しユーザーに選ばれるスーパーへ
安易なディスカウントとチラシを駆使した大雑把に地域のユーザー属性把握だけでは顧客が何を求めているかはわかりません。レガシーな戦略を脱し、アプリやO2Oマーケティングなど消費者に寄り添った戦略を打つ手段がメジャーになりつつあります。
時代に合わせた商品の提供を続けるためにも、スーパーマーケットも世の中の動向や最新技術を導入していくことが必要かもしれません。